S&S / BLOG Apr 5, 2020
Text:OKAZAKI MASAHIRO
コロナウィルスで沢山の皆さんが不安と恐怖のなかで生活していると思います。僕らも例外ではありませんが、こんな時だからこそ「良いもの」とは何か?真剣に考えて行きたいと思います。
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沢山の皆様が先行きの見えない恐怖や不安でいっぱいだと思います。今はどうすることも出来ないこの状況下だからこそこのブログは熱量全開でお届けしようと思います!!

本日紹介するのは、SNSなどで既にご存知だと思いますが、とあるブランドと共作した帽子です。

まずは順を追って説明しますね。

『Carres ( カレ)』とは??

2012年、阿部俊太・小野寺宏美の2名により東京で立ち上げたブランド。テーラーの縫製技術に裏付けされたHandmade(手仕事)でメンズ・レディースを問わず、洋服だけでなく帽子やバッグ、アクセサリー等、様々なアイテムを制作しています。ライフスタイル全般、様々なシーンを問わず、海外で培ったファッションに対する感覚を取り入れることで、キッチンをテーマにして外着としても着られるエプロン等、ありそうでなかった商品を提案。

デザイン・生地選び・裁断・縫製全てを一貫して自分達で行うブランドは今の世の中では稀であり、その強みを生かして、ファッション性が高く、且つ手仕事から生まれる柔らかみや立体感も合わせ持った物作りを心がけ、細やかな工夫や手間を惜しむことなく、それがお客様にとっての喜びに繋がることが理想としている。

-Carres-

プロフィール

阿部 俊太 Shunta Abe

04年、アメリカのFashion Institute of Technology, New York(ニューヨーク州立ファッション工科大学)にて紳士服全般のデザイン・パターン・裁断・縫製及び、服飾の基礎を学び、メンズウェア科・準学士号取得。在学中及び在学後の2年間、複数のメンズアパレルブランドにてアシスタントとして働き、パターンメイキングを中心に経験を積む。05年から2年間、Royal Academy of Fine Arts Antwerp, Belgium(ベルギー王立アントワープ美術大学)ファッションデザイン科にて発展的なデザインの構築、歴史衣装の再現等、より幅広い視野で洋服とデザインについて学ぶ。

帰国後は銀座で最も長い歴史のある老舗テーラーの高橋洋服店にて伝統的なスーツの縫製に従事し経験を積み、2012年、ブランドCarresを設立。手仕事にこだわり、テーラーの縫製技術を応用し、紳士服だけでなく婦人服・帽子・バッグ等を一点一点制作。テーラーとしても国内外から個人的にスーツ等のアイテムのオーダーを受けている。

小野寺 宏実 Hiromi Onodera

04年、武蔵野美術大学/空間演出デザイン学科・ファッション専攻を卒業。大学在学中の約3年間、靴のアトリエにて製作に従事、主にパターンナーとして働く。その後、単身渡英。05年からベルギーに移り、Royal Academy of Fine Arts Antwerp, Belgium にて更にファッションを学ぶ。

07年、ブリュッセルで開催された ” 6+ Antwerp Fashion展 ” に作品が選出され出品。帰国後、ダンス・舞台などの衣装制作の仕事で経験を積む。2012年からは自身のブランドCarresを持つ傍ら、国内外のダンサー・アーティストに自らデザインした衣装を制作している。

2人との出会い

「ホームページを見ました。フランクリーダーの洋服が好きなんです」と店に初めて来てくれたのは開店当初の6年ほど前でしょうか。ぐっと距離が近くなったのは昨年末フランクリーダーが来徳してくれた店内イベント。

英語が堪能なお二人ですので、僕の伝えて欲しいことなどを代わりに話てくれたり、話している内容も教えてもらい..いわば通訳をしてくれ、フランクも交えて一緒に遅くまでみんなで盛り上がりました。その中でお二人が何をしているのか、どんな洋服を作っているのかという話を初めて聞くことができました。

フランクとの濃密な時間に思いをめぐらせながら、2人とはもっと話したいなって思いながら帰宅したのを今でも覚えています。

奇跡の飲み会

フランクリーダー来店時の写真

そこから数ヶ月が経ち、無性にお話を聞きたくなったので当店のスタッフも連れて食事に行きました。その中で、お二人のことや洋服の話をするなかで、

「帰国してから銀座の高橋洋服店で働いていたんです」

と阿部さんから聞いたとき、僕は飲んでいたビールを吹き出してしまいそうになるほど驚きました。

銀座の老舗「高橋洋服店」店主の高橋純さんの著書 「黒」は日本の常識、世界の非常識

この本は僕にとって、洋服を学ぶうえで大切な一冊。店にも常に置いてあるほど大事にしています。その本を書いた店主のもとで4年間働いていた…なんというか出会うべくしてというか、人との “縁” を感じずにはいられませんでした。

僕が描いた理想の帽子について

そんな奇跡的なことも重なり、その飲み会は大いに盛り上がりました。その中で「自分は帽子を作るのが好き」だと阿部さんが話をしてくれたので、僕が思い続けている理想の帽子の話をしました。

1921年公開のサイレント映画The Kidチャップリン映画の中でも何度も繰り返し見ている大好きな映画です。

「劇中に出てくる捨て子の少年の男の子がそのまま大人になったら..その時にかぶっているような帽子が欲しい」

そんな突拍子もない話から始まり、実は2年前に個人的に作ろうとして断念してしまったことも含め、細かい部分にまで2人は真剣に聞いてくれました。

そいつは突然やってきた

それから10日前後。帽子のことなどすっかり忘れていた僕の元に、そいつ(帽子)は突然やってきました。

『試しに作ってみたんですがどうでしょう?』

と渡されたものは、飲み会での会話を全て汲みとってくれたような素晴らしい帽子でした。と同時に、もっと早くお願いしたらよかったと心底思いました。僕の数年はなんだったんでしょう(笑)

そこからさらに細部の仕様について打ち合わせをし、今回の企画が動き出しました。

『Carres×SLOW&STEADY』

用意した生地サンプルを見ていただき、サイズや裏地を相談しオーダー していただくパターンオーダーです。※大体1ヶ月前後での納品となります。

39050円(税込)

古き時代に思いを馳せて

帽子として考えると、決して安くはない価格ではありますが、一点一点が全て手作業で作られていること。この理想の形を生み出すことのできるお二人の技術と経験値などを考慮しつつ決定しました。

余談ですが、かつてのイギリスでは紳士を見分ける方法として『もしその人物が家の中に入ってきて帽子を脱ぐようなら紳士。帽子を脱がないのなら紳士のふりをしている男。そして、帽子をかぶっていない人物は紳士のふりをすることさえあきらめている男』といわれていたそうです。

それほどまでに、男性の身だしなみを司る重要なアイテムとして大切にされてきた帽子..

季節に合わせて「自分の帽子をオーダーする」

その行為に、なにかしらの高揚感を感じるのは僕だけでしょうか?

30年前までは当たり前のように日本人が行っていた “洋服を仕立てる” という行為。馴染みの店主と他愛の無い会話をしながら洋服を仕立てる。既製品がまだ主流になる前はそうやって一人一人の要望に合わせて作られるのが当たり前でした。

いわばそれが日本人が洋服に触れた原点でもあります。

既製品を販売する僕がこんなことを書くのもおかしいですが、僕らが忘れつつある大切な部分であることは確かです。

この帽子のように、古き良き時代の原風景がほんの少し脳裏に浮かぶもの。それこそ、こんな不安な状況下で当店が提案すべきものであり『人の心を動かす強い物』ではないでしょうか。

このアイテムに関しては随時オーダーを受け付けております。店頭でしかオーダーできないのは意味がないと思うので、準備が整い次第、当店の選んだ生地の中から、WEBショップでもご注文可能にしようと思っていますのでお楽しみに!

とりあえず皆さん今は「絶対これを着て、かぶって、履いて、遊びにいくぞー!!」とテンションの上がるものを少しでも身の周りに並べてニヤニヤしながら、

コロナのバカやろー!!

って叫びましょう。

この記事を書いたひと
岡崎 昌弘OKAZAKI MASAHIRO | at_slowandsteady
1981年生まれ SLOW&STEADY 代表。18歳の時より地元の古着屋へ勤務。その後同じく県内のセレクトショップ勤務を経て2013年「SLOW&STEADY」をオープンさせる。ブログとは別で文章形SNS『NOTE』にて洋服にまつわる記事を毎日更新しています。 『NOTE』 https://note.com/slwanstdy
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