S&S / INFORMATION Jun 28, 2025
Text:Ueno Yuto
今回は実体験を踏まえた僕の素朴な疑問について執筆いたしました。ぜひ、ご一読ください。
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こんにちは、上埜です。

昨今、SNSや広告などで「これ一着でいい」「万能な定番」というキャッチフレーズを目にすることも多いかと思います。

確かに、その言葉は便利ですし、少ない物で暮らす潔さやどんなシーンにも通用するスマートさは美しいと思います。けれど、本当に”これだけでいい”なんてあるのでしょうか?今日はそんな疑問を少し深掘りしてみたいと思います。ぜひ、ご一読ください。

実体験として

僕がSLOW&STEADY で洋服を買い始めてからおおよそ5年が経ちました。

今思えば服に興味を持ち始めた頃はどこかで自分の中の正解を探していた気がします。「これは間違いない一着」「これさえあれば他はいらない」そんな洋服ばかり求めていました。ただ、日々洋服を選んで、着て、迷っているうちにそれって本当に成立するのだろうか?と思うようになってきました。

僕自身が長く着ている当店の定番シャツFRANK LEDERのベッドリネンシャツ。

合わせやすいし、通年着れるし、何より着ている時の存在感たるや。購入から5年経った今でもこれを着るたびに気分が高揚する感覚があります。ただ、「これだけでいいな」とは言い切れませんし、言い切りたくない自分がいます。何故なら、その日の気分や天気、出かける場所や会う人、服を選ぶときに考えていることは日によって違います。少し背伸びしたい日もあれば、何も考えずに着たい時もある。

そんな日々の中で、どれだけ優れた一着でも全てを代弁できるわけじゃないと思うんです。

SLOW&STEADYとして

SLOW&STEADYは流行を過度に気にせず独自のスタイルを追求しています。

取り扱うブランドも多くはありません。それは「何を削ぎ落とし、何を残すか」を熟考した上での選択です。

多くはないからこそ、自信を持って勧められる物しか置いていません。これは、上質な洋服をできるだけ永く着ていただきたい、手元に残り続ける洋服を提供したいという想いがあるからこそ。だからこそ、店頭でお客様にも「数は要りません」とお伝えしております。

でも、そんな中にも少しの冒険はあっていいんじゃないかなと思っています。

「これだけで良い」と正解を急がずに、迷って、悩んで、ときには失敗もして、それでもまた考えて、着て、楽しむ。そうやって服と向き合いながら少しづつ自分だけの「正解」を育てていけば良いのではないのでしょうか。

まとめ

“これ1着でいい”という言葉は、ゴールのように思えます。

けれど、それが本当に言えるようになるのは、たくさんの服と出会い、袖を通し、ときには失敗しながら、自分が好きなスタイルを見つけていった人だけなのではないかと思うのです。

無駄のない選択は、やっぱり格好いいと思いますが、迷ったり、悩んだりしながら、少しずつ「好き」を掘り下げていく時間もまた、服を着ることの面白さのひとつだと、僕は感じています。だからこそ、今はもっと自由に、服を楽しんでいただきたいです。

服は、数ではなく時間とともに育っていくもの。

そして、実際に袖を通すことでしか見えてこない自分の一面も、きっとあるはずです。

もし、その一着が、今日の自分をほんの少しでも前に進めてくれるのであればそれだけで、十分に価値のある服なのではないでしょうか。僕はそう信じて、今日も店頭に立っております。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

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この記事を書いたひと
上埜 勇登Ueno Yuto | sas_yuto
2000年生まれ。洋服好きが高じて2023年よりSLOW&STEADYスタッフに。洋服と向き合いつつ日々勉強中。
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