新年あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。さて、新年一発目のブログは、年末入荷し、当店の商品の中でも一際異彩を放つIsabella Stefanelli(イザベラステファネッリ)の代表モデル “Virginia (バージニア)” について書かせていただこうと思います。
Isabella Stefanelli “Twogether”
テーラーであり、画家でもあった父を持つイザベラは5歳の頃から針と糸を手に持ち父親の手伝いをしていたそうです。
その後イタリアはマルケ州中西部の街ウルピーノにて学生時代を過ごしファッションを学びます。
卒業後はミラノに移り、演劇のための衣装やプライベートカスタマーのための衣装製作をして技術を磨きます。その後名だたるブランドのデザイナーを歴任し2016年、自身のブランド Isabella Stefanelli をスタートさせます。糸の選定から織構造の構築にまで至る生地開発、パターンメイキングから縫製、仕上げまでを自身でデザインする彼女によるコレクションは、土台となるその背景やコンセプトの上に立つことでより美しく力強いものとなり唯一無二の存在感を放ちます。
今シーズンのイザベラはTwogetherというテーマを掲げ、異なる二つの素材が一つになっているという生地の見た目や、コロナと言う困難を経て人々が一つになりたいという意志、全ての人が一緒なんだと言う安心感、自分自身の内面に潜む2つの自分を発見すると言う個人的な体験など、イザベラ自身の様々な考えやヴィジュアルのイメージが基になっています。
“Virginia” というモデルについて
当店が今回ピックアップしたのは、デザイナー自身がアトリエに持ち込んだ手機織機で自ら制作したバージニアというブランドを代表するモデルが色違いで3型です。シーズンを象徴するかのようなバイカラーデザイン加え、何色の糸を使っているのかわからない緻密で繊細で圧倒的存在感のある生地に仕上がっています。
1941年3月28日、コートのポケットに石をつめて自宅近くの川で入水自殺し、その生涯を終えたヴァージニア・ウルフ。書き残した遺書は「世界一美しい遺書」と言われています。そんなヴァージニア・ウルフが残した作品、生きざまをイザベラなりに表現したモデルがこのVirginiaです。Isabella Stefanelliのアイテムの中でも究極的にミニマムなデザインでありながら、随所に垣間見えるデザイナーの洋服作りへの情熱や、他では真似できないパターンワークが一番わかりやすく滲み出ているモデルではないかと思います。
まとめ
時間と情熱を込めて作られる洋服は数々ありますが、Isabella Stefanelliの洋服に関しては、そんな言葉では到底追いつかず、ある種「度が過ぎている」という表現が一番しっくりきます。
そんな度のすぎた訳の分からないものだからこそ、僕らは無条件に感動させられ心揺さぶられるのかもしれません。店頭でも「デザイナーも含め、このブランドの洋服を100%言葉で説明できる人は存在しない」そう伝えています。僕がこの先、何十年たってもこの洋服を本当に理解できるには至らないでしょう。
説明や言語化できずとも、なんとなく何年、何十年と着用を重ねる。本来それこそが洋服のあるべき姿なのかもしれません。小説、音楽、建築、写真、洋服….芸術と呼ばれるほどに昇華されたものというのは、結局すべからく説明のつかない魅力に満ち溢れています。
このアイテムに関してお問い合わせを多数いただいているのですが、やはりここら辺のアイテムに関しては「まず見て触れてご着用してみてください」としかお伝えできていない状況です。もう少しうまく話せればいいのでしょうが…それ以外に伝える方法がないんです。
20年以上、洋服をやってきて僕も初体験であり恥ずかしいかぎりですが、本当に一度、実際にご体験ください!!