2019年11月。徳島のセレクトショップ SLOW&STEADY にて2日間に渡り開催された『FRANK LEDER POP UP STORE
その際にご来店いただいた Frank Leder ご本人に、インタビューをお願いしたところ、快く応じていただきました。
FRANK LEDER を愛する全ての方へ、お届けいたします。 Interviewer:Okazaki|SLOW&STEADY
Translate:Hasegawa|MACH55
Photo:Nozomi Okamoto
Date:2019/11/8

#1I don't follow, I lead.

Okazaki
この度は遠路はるばる徳島へ、そして SLOW&STEADY へお越しくださり、誠にありがとうございます。まずは今までの FRANK LEDER の経緯を教えていただけますか?
Frank Leder
1974年、バイエルン州のニュルンベルク生まれです。
古い建築物の残る美しい町です。Central Saint Martinsでファッションを学び、ロンドンで自身のコレクションをスタートしましたが、今のようなドイツを中心としたテーマのコレクションは2002年にベルリンに拠点を移してからです。
Okazaki
2002年にベルリンへ拠点を移した理由は?
Frank Leder
プロダクションを作る設備がしっかり整う環境をロンドンでは見つけるのが難しく、工場とは同じ言語(ドイツ語)のほうがより濃密なやり取りができて良いと思ったんだ。
8年ロンドンで過ごして、新しい町に行く準備は出来ていたし、ベルリンに拠点を移すまではベルリンに住んだことがなくて、同じドイツでも新しい場所だったんだよ。僕にとって働く環境やスタジオを取り巻く環境っていうのがとても大事なことなんだ。それにドイツにいるということは、僕のコレクションのインスピレーションとなるドイツ文化を掘り起こすって作業がし易くなるしね。歴史や文化、アンティーク、インスピレーションになるものが身近にあるから。
Okazaki
物作りをする上で、心がけていることはありますか?
Frank Leder
まずは、自分が見つけたストーリーを書き起こして読み起こす、そして過程を蓄積していってコレクションを作り上げて行くんだ。そのストーリーっていうのは物凄く有名なストーリーではなくて、何か他の人に新しいことを紹介するような、友達のアーティストとかと共有して語り合える様なストーリーなんだ。 よく知られているストーリーだからとかっていう理由が大事じゃなくて、僕は有名だとか大衆的っていうこととは相反することを紹介したいんだ。 I don't follow, I lead.(僕は後を追い求めたりはしない、リードしたいんだ)
Okazaki
物作りにおいて、1番大切にしていることは?
Frank Leder
生地はコレクションを作る上でスタートポイントになります。興味深い生地とビンテージのボタンを組み合わせる。そしてパターンカット。その工程が私の服作りです。生地はやはり1番大切にしているポイントだね。
Okazaki
少し話題を変えて、ではフランクにとって長谷川さんの存在とは?
Frank Leder
僕たちは同じチーム。チームワークをしているんだ。
岡崎さんは売る。僕は物を作る。僕は日本にいつもいるわけではないし、日本語だって話せない。お客さんの声は直接聞くってことはなかなか出来ない。だから長谷川さんは Mediator(直訳:仲介者)。僕と岡崎さんのようなお店の人のあいだにいて、僕たちを繋ぐパイプのような役割をしてくれているんだよ。お店の声を僕に伝えてくれるんだ。
※MACH55 代表
Okazaki
フランクが思う「良い店の定義」をお聞かせください
Frank Leder
1番に「自分達が何がしたいか」っていうのを分かってるのが大事だよね。
いつもトレンドを追いかけているんじゃなくて。長く付き合えるブランドを選ぶのも大事だよね。お客さんとの強い繋がりも。もちろん売ることだって大事なんだけど、なんでも売るっていうことだけを考えて物を売っているんじゃなくて。その町の「ブランド大使」って感じで。
Okazaki
フランクにとって「良い物」とは何か、お聞かせください。
Frank Leder
僕に刺激を与えてくれて、僕自身が本当に好きだと感じる物。
あなたのそばに居てくれて、お気に入りのピースになる物。世の中には価値が見出せない物もあふれているけど、価値は人それぞれで、僕にとってはその人に価値を与える物が本当に良いものだと思う。
──
(MACH55 / FRANK LEDER エージェント から)SLOW&STEADYさんの印象は?
Frank Leder
お客さんとの繋がりが本当に深いですね。
友達のような繋がりだな、と自然に感じて、そこがすごいいいと思います。
お店が Meeting point のようで、買い物をしに行く場所っていうだけじゃなくて、友達に会いに行く、集まる場所って感じがしました。
チェーンストアが大きくなっている昨今、SLOW&STEADYのようなお店のあり方は凄く大事なことだと思ってる。 これからもよろしく!!

#2対談を終えて

まだ、あの日の余韻から、抜け切れていません。

イベント期間中、そしてイベント後の懇親会では、フランクを中心にした「緊張」と「喜び」が入り混じった空気が印象的でした。その空気を笑い声が終始包み、古くから知るお客さんの、今まで見たことのない表情をたくさん見ることもできました。

懇親会の席でフランクが「徳島は自分の故郷みたいだ」とこぼしたことが、僕にとってこの上なく嬉しかった。 イベントを終えてしばらく経った今も、自らの洋服を説明するフランクの無邪気でまっすぐな表情が、鮮明に心に残っています。

あの屈託のない表情は、自分が心底作りたいものを作っているからこそ、できるんじゃないだろうか。

「自分はファッションをやっているつもりはないんだ」という彼の言葉が、僕自身ずっとフランクリーダーの洋服に対して感じていたことを、ご本人から答え合わせいただいたような瞬間に感じました。

そんな時、洋服を好きでよかった、と心から思います。

洋服を好きな人とは、歳や性別、国すら関係なく共に笑顔になれて、古い友人のようにお酒を酌み交わせる。
こんな素晴らしいことはありません。

改めてあの場にお越しいただいた多くの皆様、長谷川さん、そしてフランク、素晴らしい時間をありがとうございました!

SLOW&STEADY 岡崎