S&S / INFORMATION Feb 14, 2026
Text:Ueno Yuto
今回はリリースより約1年が経過した今なおオーダーを複数いただいているPainted Blank ”Benjamin”について改めてご紹介いたします。
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こんにちは、スタッフ上埜です。

今回はリリースしてからも絶えずオーダーを頂いており、特にここ一カ月の間でオーダーが殺到しているPainted Blank のボタンブーツ「Benjamin(ベンジャミン)」について、改めてご紹介したいと思います。

私自身、すでに「なくてはならない存在」と言っても過言ではないほど愛用している一足であり、文章としてしっかりご紹介するのは今回が初めて。その分、普段よりも少しボリューミーな内容になっています。ぜひ、最後までご一読ください!

【Painted Blank】Benjamin

ブランド初となるシューズにチョイスされたのは世界最古のフォーマルシューズとも称される「ボタンブーツ」。1800年代にイギリスで生まれ、上流階級のステータスシンボルとして愛され、専用の器具で召使いに着脱させるほど、特権性を持ったシューズという歴史があります。

しかし、現代ではその存在は決してメジャーとは言えません。理由のひとつはトゥ部分がシャープなものが多く、フォーマルな印象が強く前面に出て日常使いしにくい点。そして、もうひとつの大きな理由が着脱の煩わしさです。前述の通り、ボタンブーツは本来、専用の器具を使わなければ着脱できず、脱ぎ履きに非常に手間がかかるという決定的な課題を抱えています。

これらの課題を見事にブラッシュアップし、唯一無二の一足へと昇華させたのが、今回ご紹介する Benjamin です。歴史になぞらえ、イギリス人男性の名前を冠したこのモデルは、シーン問わず履いていただける一足となっています。

まずは、最大のポイントであるシルエット。Benjamin は、鳴門と大阪に拠点を持つ熟練の靴職人が、木型をおこし、一からハンドメイドで製作しています。肝心のトゥ部分は、シャープすぎず、かといってボリュームを出しすぎない絶妙なバランス。ヴィンテージのボタンブーツと見比べていただければ、その違いは一目瞭然だと思います。この計算された絶妙なシルエットこそが、「シーンを選ばない=普段使いできる」という Benjamin の大きな魅力を支えています。

もうひとつの課題であった着脱のしづらさについても、サイドジップを採用することで驚くほどスムーズになりました。最初こそジップがやや硬く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れれば10秒とかからず脱ぎ履きできます。さらに嬉しいのが、ジップが完全に隠れる設計になっている点。見た目の表情を損なうことなく、利便性だけを向上させているのは、嬉しいポイントです。

肝心の履き心地ですが、一言で言えば驚くほど快適です。私自身、初めて足を入れた際、
「熟練の職人が木型から作り上げた靴とは、ここまで違うのか」
と、正直かなり衝撃を受けました。

日本人の足型に合わせた設計はもちろん、足を出すと自然に前へ重心が移動し、次の一歩がスッと出る感覚。これぞまさに職人技だと思います。革靴に慣れているスタッフはもちろん、普段あまり革靴を履かれないお客様や女性の方からも
「一日履いて歩き回っても、全く疲れなかった」
という声を多くいただいています。

残念ながら、この履き心地ばかりは文章だけで完全に伝えるのが難しい部分。
この記事を読んでくださっている皆さま全員に、ぜひ一度試していただきたい、そう思っています。

使用している革は、イタリアの名門タンナリー MARYAM(マリアム)社によるホースフロント(馬の腰から首にかけての部分)レザー。
世界最古の製法のひとつフルベジタブルタンニンなめしで、時間をかけてじっくりと仕上げられています。

化学薬品を使用せずになめされた革は、ハリとコシがあり、存在感は抜群。着用を重ねることで、きめ細かなシワが入り、使う人の癖がダイレクトに反映されていくのも魅力です。比較的柔らかい革のため、履き始めからストレスを感じにくく、履き込むほどにどんどん足に馴染んでいきます。

また、水分にも比較的強いレザーなので、大雨の日以外であれば気兼ねなく履いていただけます。さらに茶芯のため、履き込むことで徐々に下地の茶色が現れ、表情の変化も楽しめます。色味、ツヤ、シワによる陰影・・・上質なレザーのエイジングを、これでもかというほど味わえる仕様ですのでぜひとも長く楽しんでいただきたいです。※「真っ黒のまま履きたい」という方には、当店で着色サービスも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。(画像右がスタッフ上埜私物:1年ほど着用)

オプション・アフターケアについて

別途1,000円(税込)で、トゥスチールをお付けすることも可能です。使用するのは、ヴィンテージのトライアンフ製。真鍮製のものは数が少なく、年々希少性が高まっています。靴職人がストックしているものをご用意しておりますので、ご希望の方はお声がけください。

アフターケアも万全です。ヒールリフト(かかと部分)などの、消耗した箇所は職人に依頼し、交換・修理が可能。ガンガン履いているスタッフで、ヒール交換は約1年半ほど。毎日履かれる方でなければ、2〜3年を目安に交換していただければ問題ありません。

まとめ

ボタンブーツという、現代においてはマイノリティで、強い個性を宿すアイテム。しかしBenjaminは使い手次第でいかようにも表情を変える懐の深さも持ち合わせています。個性の強いシューズでありながら、履く人を選ばず、その人自身の個性を色濃く映し出す存在でもある。どこか矛盾めいたこの性質を成立させているのが、素材やシルエットなのだと思います。

ただ、これさえあればいい、という一足は存在しないとも思っています。

どれだけ万能に見えるシューズでも、すべての場面を完璧にカバーすることはできません。もちろん、今回ご紹介した Benjamin も例外ではありません。着用が難しい場面はきっとあるでしょう。そもそもシューズは、用途やシーンに合わせて選ぶのが本来の在り方だと思います。では、数をたくさん持てばそれでいいのかと言えば、それもまた少し違う気がするのです。

むしろシューズというジャンルは、洋服以上に数を必要としないものではないでしょうか。だからこそ、用途を極端に限定せず、幅広くカバーしながら永く付き合える一足を選ぶこと。それこそが、これからの視点では大切なのではないかと思うのです。

そういった意味で Benjamin は、これまで革靴を数多く履いてきた方にも、革靴にまだ馴染みのない方にも、年齢や性別を問わず、一度は試していただきたい一足です。

気になった方はぜひ店頭までお越しください。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

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この記事を書いたひと
上埜 勇登Ueno Yuto | sas_yuto
2000年生まれ。洋服好きが高じて2023年よりSLOW&STEADYスタッフに。洋服と向き合いつつ日々勉強中。
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