※これは店長岡崎がnoteというSNSで連載している『僕の洋服物語』というマガジンの記事からの抜粋です。
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中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
今回は、私の店で5年前から継続して取り扱いをしているレザーサンダル「JUTTA NEUMANN(ユッタニューマン)」をご紹介しようと思う。もしかしたら過去にも紹介しているかもしれないのだが、それほどまでに私の中では夏の定番サンダルとして確固たる一軍の椅子に君臨し続けている。
:JUTTA NEUMANN(ユッタニューマン)
ドイツ人のユッタ・ニューマンによって1994年にニューヨークで創業したハンドクラフトレザーブランド。ハンドメイドにこだわり、すべてが熟練した職人の手作業で作られるサンダルは、最高品質の革と熟練の技によって素晴らしい履き心地を提供している。 永く履けば履くほど、自分の足のかたちに馴染み履き心地が向上するのが特徴で、世界的に有名なコレクションブランドがショーの際に使用するクオリティの高さから、レザーサンダルのロールスロイスとも呼ばれている。
当店ホームページより
このサンダルなのだが、20年近く前にも所有しており履いていた経験がある。その当時は馴染むまで我慢できる自信がなくすぐに手放すほどに最初は履きづらくて痛いイメージだった。
当時はスニーカーばかり履いていたことや、革のサンダルに慣れていなかったのもあるのだが、メーカいわく革の圧着方法を変えて履き着心地も昔に比べ随分と向上している。
私の店ではこのブランドの代表モデルといっても過言ではないこのアリスというモデルを黒と茶色を交互に仕入れている。
ラティーゴレザーと呼ばれる、オス牛の革をフルベジタブルタンニンという植物を使った古くからのなめし方法でなめされた頑丈なレザーが使用されているのだが、オイルがグリスといった油分を多く含んだ革なので、汗や雨にも強い。
私は5年ほど履き続けているが、自分の足の形に革が馴染んでいるのがよくわかる。結果、毎年履き心地が向上している気がする。
確かに唯一無二の履き心地。ただ、レザーサンダルのロールス・ロイスと呼ばれたりしているが、私自身乗ったことがないし、その表現が適切かどうかはわからない。しかも現代において履き心地だけで考えれば、最も優れているとは言い難い。
履き心地や経年変化ももちろん素晴らしいが、忘れてはならないこのサンダルの最大の魅力は圧倒的な存在感である。軽装になるこれからの季節、コーディネートを底上げしてくれる重厚感や品格。それがこのブランドの最大の魅力だと考えている。
機能が良いだけでは決して一軍には入らない。そこが服飾にまつわる道具の面白さでもある。あくまで道具としての美しさを兼ね備えていなければ、今のように世界中の洋服好きから愛されることは難しいだろう。10年先も私が夏に履くサンダルはこのユッタニューマンのアリスだろう。茶色と黒。2足持っていれば他は要らない。
自分にとっての定番アイテムを探す旅に出てもう随分と経つ。
サンダルとTシャツはようやく決まったもののまだまだ先は長そうだ。