S&S / INFORMATION Apr 5, 2026
Text:Ueno Yuto
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こんにちは、スタッフ上埜です。

昨年、ブランドとして初の展示会が開催され、すでに多数のご注文をいただいていたPainted Blank “Melody”が、満を持してリリースいたしました。個人的にも展示会で特に印象に残っているアイテムの一つで、入荷を楽しみにされていた方も多いのではないでしょうか。今回、店頭販売分も少量ながらご用意できましたので、気になっている方はぜひ最後までご覧ください。
それではご紹介いたします。

【Painted Blank】Melody

Painted Blankとして初めて制作されたモッズコート「Melody」。その背景にあるのは、ミリタリーウェアとして誕生し、その後ファッションとしても確固たる地位を築いたアメリカ軍のフィールドパーカーです。ただ、このコートが面白いのは、ヴィンテージの再現でも、単なるアップデートでもないところ。源流への敬意は感じながらも、しっかりと現代の日常に寄り添う一着へと昇華している。結果としてこれは「ヴィンテージの延長」ではなく、今着るための新しいモッズコートになっている、そんな印象を受けます。

まず素材ですが、ボディには手織りのコットンリネンを使用しています。機械ではなく人の手によって織られた生地は、均一すぎない柔らかな表情を持ち、着た時にどこか空気を含んだような質感があります。

そして、このコートの特徴として挙げたいのが袖の切り替えです。パッと見で目を引く方も多いのではないでしょうか。これはオランダ軍のミリタリーライナーに見られるディテールが取り入れられており、ボディとは異なる超高密度のコットンウェザーを使用しています。通常のウェザー生地であれば光沢を出す仕上げをすることが多いのですが、今回はあえてそういった加工は施さず、生地本来の素朴な質感を残しています。高密度ながらも硬すぎず、袖をまくった際も自然なドレープが出る生地となっています。

異なる2種類の素材を組み合わせることで、モッズコート特有の無骨さを程よく中和し、少し軽やかな印象に仕上がっているのもこの服の良さだと思います。裏話にはなりますが、私も生地選考の段階で実際に生地に触れたのですが、正直ここまでの仕上がりになるとは思いもよりませんでした。何十種とある1㎝四方の生地だけを見て全体をイメージする、と言えば難しさが伝わるでしょうか。結果、数多くの生地の中から採択されたこの生地はヴィンテージ特有の土臭さを残しすぎず、かといって消しすぎない。実にPainted Blankのアイテムらしい仕上がりになっています。

シルエットはヴィンテージのモッズらしい、ラフに羽織れる良い意味での粗さを残しながら、全体としてはどこか品よく見えるよう整えられています。春はTシャツなどの上から軽く袖をまくって着る。秋冬は中にニットやスウェットを重ねても着ぶくれしない設計に。そういった季節ごとの自然な着方まで含めて、懐の広い洋服だと思います。フーディでカジュアルな印象を出しつつも首元のボタンやドローコードの先端についたレザーパーツでさりげない高級感が加えられています。シルエットや素材だけでなく、細部のデザインにまで気を遣い、バランスを整えられた設計になっております。

まとめ

着方を限定しないこと。年齢も性別も限定しないこと。そして生活の中に自然と馴染んでいくこと。
このコートから感じるのは、そういった服としての普遍性です。

私自身、モッズコートは昔から大好きなアイテムのひとつで、今回のリリースも心待ちにしていました。実際にリリースされてからは様々な着方を試しながら楽しんでいますが、改めて感じるのは、この服が「何にも縛られていない自由な洋服」であるということです。Painted Blankはブランドコンセプトとして「余白」を大切にしていますが、今回のMelodyも例外ではないと感じます。

ただ、この余白を持たせることは決して簡単なことではないとも思います。特に今回のように、ファッションの歴史の中で確固たる地位を築いたアイテムをベースにする場合、どうしてもそのイメージに引っ張られてしまうものです。さらには、多くのデザイナーやブランドが同じアイテムをベースに制作してきたからこそ、作り手の癖や思想は強く出やすくなる。だからこそ、本当の意味での自由を表現することは難しいジャンルでもあると思います。もちろん、このMelodyにも作り手の個性は確かに感じられます。しかし、それはあくまでアクセント程度に収まっており、作り手の思想や癖が静かに滲みながらも、主張しすぎない。この絶妙な距離感こそ、この洋服の真の魅力であり、Painted Blankにおけるものづくりなのだと感じました。

気になった方はぜひ一度、店頭で袖を通してみてください。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております!

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この記事を書いたひと
上埜 勇登Ueno Yuto | sas_yuto
2000年生まれ。洋服好きが高じて2023年よりSLOW&STEADYスタッフに。洋服と向き合いつつ日々勉強中。
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