お久しぶりです。SLOW&STEADYスタッフの佐藤です。
先日4/30・5/1と二日間で当店にて受注会が行われ大変ご好評いただきました。今回は、PAINTED BLANK待望の新作アイテムが当店に入荷いたしますので詳細を紹介していこうと思います。※17日以降に店頭入荷予定です。
Hanten Jacket “Jiro”
満を辞してリリースされた今回のアイテムは半纏です。
日本人で服好きな僕たちにとって、これほどまでに馴染み深く。でもどこかちょっと距離があるような『半纏(はんてん)』このアイテムは、洋服と遜色なく毎日使っていただける、いわば ”ジャケット” としての半纏です。
どこまでが半纏で、どこまでがジャケットなのか。
PAINTED BLANKの半纏ジャケットという解釈はどこら辺なのかを見ていきましょう。
素材について(表地)
表地に使用しているのはたて糸、経(たて)糸と緯(よこ)、72番手双糸、オーストラリア産メリノウール100%です。その中でも特に細い(super100s) が使用されています。そのため、素材本来の上品な光沢感があり、着ていることを忘れてしまうほど非常に軽量かつシワになりにくい素材です。
いわゆる夏用のスーツ生地で夏場でもTシャツの上から羽織って楽しんでいただけると思います。この表地がこのアイテムをジャケットとして扱うことができる最大の要因です。
「和服を着ている感がない」
純粋に毎日使える服として見ることができるようになっています。それでいて、シルエット・ディテールを見れば半纏にしか見えないっていうのが憎いところです。
素材について(裏地)
本アイテムの目玉といえばやはり12種類の裏地です。
裏地に使用しているのは、福岡県筑後地方の代表的な織物である「久留米織り」の技術を伝承し、様々な商品を生産している老舗織物工場さんが作った生地。筑後地方の代表的な織物である久留米縞を由来とし、複数の糸を使って生み出す久留米織の伝統的な細かな織り技術と手作業に宿る温かみが共存した素晴らしい素材です。
今回このアイテムの制作にあたり、今まで門外不出とされていた織物生地を使わせていただけたそうです。
なぜ裏地にこだわるのか?
江戸時代には『裏勝り(うらまさり)』という文化があったそう。庶民に贅沢させず倹約させる「奢侈禁止令」が制定されており、自由に衣類を選べなかった人々が裏地に派手で豪華なものを忍ばせていたのです。
「見えないところにさりげなくこだわる」ことの始まりであり、そもそも江戸時代にもお洒落ってあったのかと感心しました。そんな江戸時代の美意識をそのまま再現されています。
そして、裏返しても着用可能なこのアイテム。秋や冬になってきましたら、裏返して上からコートを羽織っていただくと隙間から裏地が見えてストールを垂らしたような着こなしが可能です。これもまた「裏勝り」ですね。
シルエットについて
半纏の直線で構成された独特のパターンは腕を動かしたり作業したりする際のストレスを考えて日本人が考えた素晴らしい形です。
明治時代に作られた半纏をベースに、着丈はジャケットとして使いやすい長さにし、身幅はオールシーズン使いやすいように程よいゆとりを持たせてあります。着用時生まれる肩部分のドレープは半纏ならではもので、このドレープが美しく表現できるよう細かくミリ単位で微調整がなされています。
まとめ
受注会にて完成サンプルを見るまで、正直半纏ってどうなんよ。と半信半疑でありました。しかし、レギュラータイプのデニムやヨーロッパ由来の太いパンツ、軍パンに合わせて見るとびっくりするくらいかっこよくて、何より鏡の前で見てスッとコーディネートが自分の中で腹落ちするあの瞬間にはただならぬものを感じました。
なんでこんなに違和感がないんだろう。僕なりの解釈として、コーディネートを組む際に一番重視しているのはバランスです。自分の体型、雰囲気を理解した上で、それに合った洋服を選んでいます。トップスが大きければ、ボトムスはスマートに、逆もまた然り。
しかし、今日まで僕は、”洋”服の中で服をチョイスして、そのバランスを調節しておしゃれを目指していたんです。”バランス”を意識していたのにも関わらず、上から下まで”洋”服で固めてしまっていました。そう考えるとこのアイテムが外国由来のアイテムとこんなにも馴染むのは自然なんじゃないかと思います。
PBの新作の半纏”JIRO”で、洋服ばかりのあなたのクローゼットにほんの少しだけジャポニズムを入れてみてはいかがでしょう。