打ち合わせや試行錯誤を経て当店5周年記念ストール DOT&LINE〈S&S Progress stall〉はいよいよ制作段階へ移ります。
今回の<制作編>では、実際の作業写真を中心に完成までの道のりを綴ります。
(この記事の前編となる【企画編】はこちら)
DOT&LINE〈S&S Progress stall〉製作工程
1、布裁断
選んだ生地をストールの大きさに合わせ裁断します。
2、ストール縫製
ほつれが起きないように2辺にミシンをかけます。
3、ストール精錬
縫製の終わった生地を木灰汁を入れたお湯に30分間炊く事で、生地に付着した不純物や汚れを取り除きます。(※写真は当店のストールではありません)
4、臈纈(ろうけつ)染
<企画編>で紹介した臈纈(ろうけつ)染に使用するインドネシアの器具”チャンティン”ですが、今回のために現地の職人さんからBUAISOUの人達が譲り受けたいくつかの道具の中でも、エレクトリックチャンティンという本体にコイルが内臓されており、ロウを溶かしながら作業ができる器具を使用しました。代表の渡邉氏曰く、この器具自体がかなり珍しいらしく、藍染職人でも見た事がない人が殆どだそう。慣れるまでこの道具と相当向き合ったそうです。
<1日3枚のペース>
5、染色
一枚につき4回染めます。 (1日に4枚ペース)
6、染色後の後処理
水洗い(2回)
熱湯でろうを落とす(3回)
水洗い(1回)
酢を入れた水に浸ける(15分) → 水洗い(1回) ※お酢に浸すのは髪の毛でいうとトリートメントと同じだそうです。4回に渡り染めた生地のダメージを和らげ、色の定着を安定させる効果があるそうです。
水に1晩浸ける
次の日 >> 水洗い1回→70度のお湯に30分浸ける→水洗い2回→脱水→自然乾燥
更に次の日 >> 70度のお湯に30分浸ける→水洗い2回→脱水→自然乾燥
7、抜染
抜染した日 >> 抜染箇所にアイロンをかける → 抜染糊を置く → 乾かす → スチームをあてる → 水洗い3回→50度のお湯に一晩浸ける
次の日 >> 水洗い1回 → 呉汁に20分浸ける → 脱水 → 自然乾燥 → 完成
(呉汁:大豆粉に水を入れかき混ぜた後に出来る上澄み..※呉汁は色止めの為に使用します。)
最後に
これがストールの全行程を簡単にまとめたものです。この作業以外にも細かい部分は書ききれないほどあるんですけど、ここまで書いて伝えたかった事、それは藍染を愛する職人さん達による惜しみない手作業がこのストール1枚1枚に丹念に込められているという事なんです。これだけの行程を経て仕上がった頼もしいストールなんだって皆さんと共有できたら嬉しいです。
正直、僕らは完成した製品しか普段目にする機会がありません。今回もBUAISOUにこのストールを依頼していなかったら、自分の目で見ていなければ、職人さん達の労力や情熱を実際思うよりもっと表面的にしか捉えていなかったのかもしれません。全ての作業を、培ってきた確かな経験と自分たちの手で丁寧に行い、少しでも良いものを作る為に日々自然と向き合い続ける。「目に見えない微生物や気候、そんなコントロールの効かない要素が大きく左右するからこそ藍染は面白い」って、皆さんおっしゃっていましたけど、「面白い」という言葉の裏側にある藍染職人さんの並々ならぬ苦労や努力をこの企画のおかげで少しでも近くで見る事ができた事は僕にとっても非常に有難い学びの時間となりました。
「やりたい事を貫く」 のが難しいんじゃない。「貫いた結果」が大事なんじゃないかと最近よく思います。自己満足で人知れず終わってしまったらきっと満足なんか出来ない。貫いた結果、周りに理解してくれる人たちが集まり、点が線になり、太くなる。SNSが普及している世の中だからこそ、こうやって地元徳島で居ながら世界に誇れる人達にクローズアップしたり、県内外、国を問わず、良いものを当店のフィルターを通して発信し、理解してくれる仲間を増やす。物売りとして当たり前の事だけど、その当たり前の事こそ、僕ら洋服屋が一番にすべき事なんじゃないかと心から思えた素晴らしい1年間でした。
BUAISOUの皆さん、最後までお付き合いくださって本当にありがとうございました。自分も皆さんのような温かく、熱いチームを先々で作れるように頑張ります。これからもよろしくお願い致します!!
SLOW&STEADY × BUAISOU DOT&LINE〈 S&S Progress stall 〉 4/1より店頭、WEB共に販売開始となります。皆様よろしくお願い致します!