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2015-11-20 Update

多分野にわたる膨大な知識と気の遠くなる様なプロセスを以て生み出されるボンクラ製品、そしてその全てを生み出すデザイナー森島久氏。先日開催された四国初となる『ボンクラ祭り@SLOW&STEADY』では、盛りだくさんの商品とともに森島氏との公開トークセッションも行い大いに盛り上がりました。今回は1時間半に及んだそのトークセッションから、一部ではありますが切り取ってお届けいたします。

最初はデニム200本から始まった

岡崎 皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。今日はボンクラデザイナー、森島さんについて素朴な疑問からブランドの事、森島さん自身の事など色々お聞きしてみようと思いますのでよろしくお願いします。
では最初の質問なんですけど、ボンクラを立ち上げる前のお話で、商社とか古着キュレーターなどをやられていたっていうお話を聞いた事があって、それはどういった経緯で進まれたんですか?

森島 商社をやってたわけじゃないけどなー、それはちょっと違うかな。

岡崎 そうなんですか、失礼しました!

森島 順番に話をしていくと、22歳で大学を卒業して20年間サラリーマンをして、で、42歳でサラリーマンを辞めました。その後ブランドは当然やりたかったんだけど、なかなかすぐにはそういう訳にはいかなかったので、その間に体一つで出来る事はないかなってモデルの仕事をやらしてもらったり。
それと古着に関しては、小学校5年生ぐらいからすごく興味もって。大阪のアメリカ村、まだアメリカ村って名前で呼ばれてない時代から、家からチャリンコで行けるぐらいの距離にあったんで結構通ってたなあ。当時はジーンズと言っても501ばかりじゃなくて、フレアのジーパンとかベルボトムと言われる裾の広がったジーパンとかが積まれてる時代で。

そっちの方が人気があったから。逆に501みたいなストレートでボタンみたいなのは全く人気がなかった。古着キュレーター的な事の話をすると、そうやってたまたま興味あったものが今日まで続いてたっていう事なのかなあ。
10歳から興味を抱いた事が一回も途切れることなく、その探究心は40年間変わらず続いている。一つのモノを見ても、これはおそらく何年代だろうとかこのブランドはどこでどうして派生したんだろうとかどんどん気になって。そうしたら当然普通の人よりも詳しくなってくるから、ブランドとか業界の人からヴィンテージの鑑定みたいなオファーを貰いだしたのがきっかけで動き出したっていう。そんな経緯かな?

岡崎 ブランドをやりたいっていうのはいつ頃から意識し始めたんですか?

森島 んー、サラリーマンも責任のあってやりがいのある仕事なんだけど、入った時から20年で区切りをつけようと思ってて。人生一回きりだし、そこで一旦リセットして自分のやりたい事を更にしたい、自分でやれることをさらに突き詰めてみたいっていうので違う一歩を踏み出したって感じかな。たまにそこを間違った捉え方をして「じゃあサラリーマンはだめなんですか?」って質問する子がいてんねんけど(笑)全くそんなのは言ってないから。そこだけ誤解ないようにお願いします。

岡崎 2011年に現在のボンクラを始められたんですよね。2011年から今の時点でかなりメディアにも取り上げられて、すごい勢いの中ボンクラサロンもオープンして、今現在、非常に話題になってる訳なんですけど、それはスタート時から森島さんの中である程度想定内の事だったんですか。

森島 えっとねー、始めた時はもちろん無我夢中で始めてるからね。ただ、経験としてアパレルメーカーに働いていた訳でもなかったんだけど、正直やり切れるとは心の中では思っていたかな。なかなかね、やってもない事をやり切れるって口に出すのってなんかちょっと恥ずかしかったりするんやけど、心の中では「絶対やり切れる!」と思って突っ走ってた。最初はパンツ200本から始まってんねん。

本当に無名でスタートしたけど、昔からヴィンテージが好きで、そっちの業界で「森島さんが作るものやったら間違いない!」と、オレの知らんところで買ってくれた人も多くて、ものの数日であれよあれよという間に売れていってくれて、オレ自身も一生懸命こだわって頑張ったからだと思いたいし思ってる。今はしっかり伝わって売れるブランドになっていきたいなと頑張っている途中。そんな感じです。

岡崎 じゃあもう最初っから今の状態が想像できてたってよりは徐々に?

森島 そうやな。でも、正直なんだろうなー。こだわりで云うと、自分の作りたいモノを作りたいだけでやってるから、この先ブランドが大きくなる事になってもそのスタンスは変えずにいようと思ってる。無理にたくさん量を作ったりとか、このアイテムはぜったいに売れるから作ろうとかそういう事はこの先も絶対しない。

岡崎 森島さんを見てたらわかります。

森島 常に今自分が着たいモノとか、ヴィンテージの中でこの年代のコレがないから、こんなアイテムがあってもいいんじゃなかと自分で消化して噛み砕いてみたりして。そうゆう感じで作ってるのがボンクラだと思ってるから。ヴィンテージに自分のエッセンスが入ってるのがボンクラのアイテムになっているので。着てくれるみんなも理解して喜んでもらえるとありがたいな。

自分でブランドイメージを100%伝える事ができる場所

岡崎 先程おっしゃってたデニム200本からスタートして、今現在アイテム数って増えていますよね。それって正に、その時その時で森島さんが着たいものをって事ですか?

森島 そうやな。アイテム数を無理にガンガン増やしてるつもりはないねんけど。
たまに、このまま作り続けたらデザイナーさんってネタがなくなって大変ですよねって言われることがあって。だからこの間、自分で作りたいもの順番に書き出してみたら、死ぬまで作られへんぐらい量があってびっくりした。実は(笑)

    

岡崎 じゃあ、全く心配してない?

森島 全く心配してへんな。

岡崎 まだまだやりたい事がありすぎるんですね。

森島 そう。一点一点作り込んでるから、原則的に、翌年は着たくないなっていうモノだけは作りたくなくて。もちろんな。身に付けて、ちゃんと育つようなアイテムを届けるブランドだと思ってるよ。っていうかそういうコンセプトでやってるからね。

岡崎 ボンクラに関しては、前のシーズンに出していたモノを探されてるお客様とかうちでもよくあるんですけど、本当に流行とか関係のない所で人気があるんですよね。

森島 そう。例えば3年前のBセーターあるやろ?3年前、4年前のやつが今になってめっちゃ売れるんやんか。逆にそれがボンクラっぽいなとか。ほかのブランドやったら4年前のモノとかはちょっと、、とかあってしまうかもしれんけど。うちでは、これ以前買えなかったんでめっちゃ欲しいです。って言ってくれたりして、本当にありがたいな。大事に売っていきたいって思うな。

岡崎 今後ブランドとしてやっていきたい事ってありますか?

森島 今のところは特に考えてないかな。その時々で思いついた事をやってるから…

岡崎 近頃で言ったらサロンをオープンされましたよね。お邪魔させていただきましたが絶句してしまいました。ほんまめちゃくちゃカッコいいですよね。

森島 サロンはね、あってもいいかなと思ってな。自分でブランドイメージを100%伝える事ができる場所っていうのもあっても良いのかなって。
今卸させてもらってるお店は色んなブランドの混在があって、だからそこの店の意味もあるって思ってる。本来セレクトってそうゆう意味でしょう。
で、オーナーが良いなと思うものを揃えて主力はこれ、顧客にはこれを薦めたいなっていうのががセレクトの始まりだと思うから。そうゆうスタンスがいいと思うし好きなので、もちろん今は直営店的な事はする予定はないよ。

じゃあ、サロンとはって言われたら、例えば雑誌の取材とか今まで本当に小さい場所を借りてやっててな、空気感やブランドイメージをサロンを通してしっかり皆に伝える事をデザイナー自身でもやっていきたいって思って作ったわけ。やって凄く良かったなって思ってるよ。

岡崎 ボンクラのブログでこの前拝見させていただいたんですけど、ボンクラ塾始めますって…
あれとかも新しい動きではありますよね?

森島 おーー!そうやな。あれは前からそういう声が多くてね。もっとデニムの事とか古着の事とか色んなヴィンテージの事を教えて欲しいみたいな感じで。ありがたい事に。
例えばこんな感じで他所でもトークイベントとか結構させてもらったりもしてるんだけど、せっかくサロンも出来たのでうちでも開催させてもらおうと思って。まず第1回は10月10日にやってみよかなと。

岡崎 内容は森島さんがお客さんに服のことを伝えたりとかですか?

森島 第1回のテーマはデニムにしてて、おそらくデニム中心の話。後は途中脱線するかもしれへんし(笑)

岡崎 (笑)では森島さん個人のことについてもお聞きしたいんですけど、サロンにミッドセンチュリーの家具があったり民芸品があったりとか。一緒に食事行かせてもらっても食に対してこだわり持たれてたりか。さっきお話の中にあったみたいに小学生でアメ村通うとか。好きになったものを深く追求するのって幼い頃からなんですか?

森島 そうやな、これあんまり言ったらネタかって言われるんやけど、近所に流れてる言い方悪いけどドブ川、綺麗な川ではなくてね。小学校4年の時やったかな、この川はどこから来とんかなって。本当に自転車で上流まで行ったからなー、奈良県まで。

岡崎 ええー!それ距離的にどれぐらいですか?

森島 距離的に45kmぐらいかな?50km弱。家族が帰ってけえへんてなってえらい騒ぎになってね。

岡崎 じゃあもう小さい頃から、もう気になったら止まりません!みたいな?

森島 そうやな、それは今もかもしれへんけどよく注意されます。はやく大人になりなさいって(笑)多分一生なれへんけどな。

岡崎 (笑)森島さんってコレクターとしても有名じゃないですか。その中でブランドとして洋服を選んだのって結局好きなものの中で洋服が一番だったって事なんですか?

森島 んー。一番?一番かもしれへんなあ。洋服に興味もってそれなりにずっと長いし、自分を表現しやすいしな。身に着けて歩けるもんな。家具身に付けて歩かれへんもんな。そんなやつおったら怖いわ。

岡崎 表現しやすい?

森島 表現しやすいかな?表現しやすいけど表現しにくいよな。まあでも、ある程度決まった形の中で表現出来てってのがあるかもしれん。

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