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2018-03-30 Update

藍染とは、食べられない農業。

岡崎 藍染めを始めるための原料が買えないってことですか?

そうです。染料自体が労働に対して値段がつかないんですよ。なので作る側からすると蒅作りだけで食っていけないってなっちゃうんですね。

三浦 儲からないから単純にやる人が少ないと思います。どうしても科学的な染料が大量生産には向いているっていうのもあって、だんだん藍染は減っていって。

岡崎 染めるモノに合わせてスケジュール組んで、仕上がりに何日もかけてって、洋服で言えばまるでオーダーメイドみたいな世界ですもんね。

せっかくなら自分らで一からやりたいって思いは前から強くあって。僕は最初、協力隊入る時に蒅の作り方を学べるのが魅力的に感じたのは、色作るっていうのはあまりできないことだと思ったからなんです。絵を書いてたりしても絵の具は買う物じゃないですか。ほとんどの物って人が用意した道具、材料を駆使してって感じだと思うんです。でも藍はその概念を覆したというか…。

岡崎 作品を生み出す道具や材料も自分達で作ってる感覚ですもんね。

藍染めはまず農業からやるわけじゃないですか、しかも食べられない。食べ物じゃない農業やるってのも僕にとってかなり新鮮で。あと色を何もないところから作るってのは、衝撃を受けた部分でもあるし、人がやってない部分だと思ったので。自分が畑に入るっていうのは最初から譲れない部分でしたね。

岡崎 食べられない農業。確かにそうですね。自分も徳島に住んできて、藍染というのが徳島の伝統であるというのは知ってましたけど、それはやっぱり”染め”の部分であって、農作物としての藍を見たことってあんまり無かったかも。

藍っていう植物もだし、発酵に必要な微生物もだし、生き物ありきの染め物とか工芸っていうのは少ないんじゃないかと。

岡崎 でもそうなってくると、毎日、目が離せないことになってきますよね。

結城 でもそこが結局面白い部分なんです。チームの中で意見出しあってね。毎日データ取ってても、毎日発見があるみたいな。

岡崎 なるほど。面白さもある反面、それだけ大変だし、出荷の際の値段が安いってこともあって、徳島でも藍農家さんが減っていってるんですね。

渡邉 そうですね、減ってます。でも、まだ細々とみんなやってるけど、国から補助金が出ててとか、その補填分はあるので分け合いながらなんとかやれてるってのはあります。そういうのがあるから、今やっている人達はまだ少しは続くんだろうとは思うんです。ただ、新規参入する人達には何もうまみがないので増えないってのが現実です。

岡崎 新しく始める人が増えづらい環境ってことは後継者がいないとやる人が減っていきますもんね。

渡邉 そう。好きだから作る。利を求めてはやらない。

岡崎 畑から作って自社製品をプロデュース、サイト運営。トータルでこなしていかないと、蒅だけでは厳しいってことですね。

渡邉 蒅だけの勝負ではほんとに厳しい。自分で作って付加価値付けてみたいな。ちゃんとした適正な価格で取引ができて、結果ご飯も食べていけるってのはここから先を考えても難しいと思います。

岡崎 僕、ストールの行程を見てて、これは、想像してたよりずっと大変だって心底考えさせられました。「このあと水に二日間つけるんです」とかって(笑)実際すっごい時間かかってるじゃないですか。ほんと凄い工程数を丁寧にやってるっていうのにも感動したと同時に、その辺は僕ら売り手側がもっとしっかり伝えていくべきだなって。

結城 そう言っていただけるのは凄い嬉しいです。でも時間がかかれば良いとか、難しいことだから良いとか、っていうのも特別はなくて(笑)やってたら面白くなってきてっていう部分ですね、自分は。

岡崎 洋服屋だからデニムを扱う機会は当然多いんですけど、デニムのインディゴと本藍を混同してる方が多いっていうのはずっと感じてます。今回ストールを販売させていただくにあたって、しっかり違うモノっていうのを伝えたいので、インディゴと本藍の違いを教えてください。

うーん。名前自体も曖昧なんですよね。インディゴっていう名前もただ化学藍ってわけではなくって藍も英訳するとインディゴなんです。なのでケミカルインディゴかナチュラルインディゴかっていう分類になってきます。

岡崎 ピュアインディゴってデニムなんかでも書いてありますけど、純粋な化学染料ですもんね。

渡邉 そう。それはもう化学藍。

岡崎 普通ピュアインディゴって書いてたら、本藍って思う人も多そうですよね。

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