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2017-03-10 Update

自分が作ったものを共有してもらって、その上楽しんでくれたらもう、言うことない

岡崎 お2人に共通して言えるのは、好きでやり始めて、その結果、竿を作ったりルアーを作ったりっていう所に行き着いてるんですよね。作りたいって欲求はどんな感じで芽生えてきたんですか。

中野 僕の場合は興味を持ったことに対してはなるべく深く関わりたいっていう性分で。例えばなんですけど、中学生になったら音楽とかに興味を持ち出す時期でしょ。その時も聞いてるだけじゃ満足できなくて、ギターを手に入れて黙々と練習して、友達とバンド組んで学祭でダーって演奏してみたりとかね。そんな感じで何にしても受け手ばっかりじゃなく、提供する側に自分も参加したいなっていうのがずっとあるんですよね。ブラックバス釣りに関して言えば、ルアーはブラックバスと釣り人がコンタクトするための一番重要な道具だと思うんですよね。特にトップウォーターの釣りでは、釣りをしている最中に一番見ている時間が長いものでしょ。だから、それを作るのに参加したらもっと釣りが面白くなるかなって思ったんですよね。でも、ルアーを自作する人がよく言う、自分で作ったルアーで釣れたら嬉しいとかっていう感覚とはまた違ったんですよ。僕がルアーを作るモチベーションに自分以外の釣り人に使ってもらいたいっていうのがありましたね。ルアーの制作活動を自己満足としてだけではなくて、だれかと共有できたほうが楽しいし、いいものを生み出せると思ったんです。だから作り始めたときからプロになりたいって思ってましたね。

佐藤 俺も聞いてると、ほぼ一緒だ。考え方は違うけど思っていることはほとんど一緒。自分が作ったものを共有してもらって、その上楽しんでくれたらもう、言うことない。それが一番いい。俺は他所にない物を作りたかった。まだその時、ブラックバスのウェアブランドってなかったから。まあ当時はブラックバスの服っていう感覚が考えられなかった。

岡崎 「クリークリー」にしてもそうなんだけど、デザインとして他のビルダーさんがやってないような、テイストが独特っていうか。それはやっぱり龍平さんがもとは洋服屋から始まったからとか関係あるんですかね?

佐藤 うーん。この目玉付きのルアーなんかは、当時友人が立ち上げた洋服ブランドがあって、服に目玉が付いてて、取り外しが出来るっていう商品があったの。自分の店で売ってたんだけど、単純にそれとリンクするなって。そう言われれば、洋服屋やってたのはすごく関係してるのかも。洋服から広がっていったルアーっていうのは誰もしてないだろなって思ってたし、何より一つ目の目玉がくるくる動いて取り外せたりもできるって、ユーモアというか可愛さがよくない?リアルなルアーが主流だったからポップなのが出来たぞって。当時、内藤賢二さんとよく釣りに行ってて、内藤さんの前で投げてて、その時にこれ釣れるねって言われて、マジっすかって調子に乗ったな。

岡崎 「クリークリー」で?

佐藤 「クリークリー」で。やっぱりー!ってなって本格的に商品化しようってそん時に思った。ただ本職のビルダーの人にどうやって作るんですか?なんて聞ける空気でもなくて。当たり前なんだけど。だから、とにかく削って削ってたくさん失敗しないとなって思いながら。自分だけのルアーを見つけなくちゃいけないから。本とか見ながら作ってみて300本ぐらい注文して全部にウエイト入れて試してみたらノーウエイトが一番動くっていう。で、生き残った30個が15年前に世の中に一回出せたの。この岡ちゃんも持ってるやつがそう。最初のやつ。でもね、ほんと奥が深くって。こんなのでお金もらっていいのかなって。

岡崎 そこなんですけど中野くんは長く使ってもらうための技術だったりデザイン、動き、っていうのをビルダーとしてやってく上で当たり前のように要求されているわけですよね。そこに関する知識ってどうやって増やしていったんですか?

中野 僕の場合は佐藤さんが作ってた時代と違って、作り始めた頃にはインターネットである程度情報収集ができる環境ではあったんですよ。プロ、アマ問わずルアービルダーの人達がブログで削る過程をアップしてくれてたり、最初は主にそんな所から情報収集してましたね。佐藤さんの頃と比べるとそういう面では比較的入りはよかったんですけど、反面、その頃のトップ業界はすごいレベルが高いっていうか。試行錯誤して、2010年に販売を始めたんですけど、その時代の平均的なクオリティはどうしても超えていきたいっていうのがあったんで。やっぱり大変でした。あとは、いくらネットで情報を仕入れられても、実際にやってみたら全然上手くいかなかったとかも当然あって(笑) 結局はトライアンドエラーの繰り返しで。10回、20回トライしたくらいじゃものにならなかったですし、それこそ何百回ってやってるうちに少しずつ分かってきました。作業そのものは結構キツいけど、毎日好きなものに触れられるのって幸せなことだと思うんですよ。

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