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2016-09-13 Update

キャッチしてくれる人の教養とか知識は、僕ら表現する側として凄くありがたい

岡崎 いま現在東京でやられてて、地方と都心の両方経験された上で、ここは違うなって所はありますか?

本池 やっぱり人の数が違うよね、作ったものをを理解してくれる人の数。これを高く買ってくれる人っていう部分で言ったらやっぱり都会の方があるの。単純に人の数にも比例するんだろうけど。いい物をなぜいいと思うかって説明できる人が都会にはいる、ちゃんと学んだ人がいるんだよね。人が多いから凄いとかじゃなく、ちゃんと苦労して学んだ人が集まっているんだよね。僕らがやっていることを高く評価してくれる人がたくさんいる。もちろん、知識は無くてもこれを見てカッコいいって言ってくれるのでもいいんだよ。ただ長くやっていくとやっぱりこれがなぜいいのかって説明してくれる人が多い方がいいね。自分は必要とされない時がいつかは来るかもしれない。そこでキャッチしてくれる人の教養とか知識ってのは、僕ら表現する側としては考えるきっかけが増えて凄くありがたい。ただ田舎にもそういった人はしっかり居るからね。ゼロかって言ったらそうじゃない、ただやっぱり数は違う。

岡崎 『MOTO』の展示会に来させてもらった時とか、お店始める前にこの靴を買った時も感じたんですが、明らかに近隣のショップと比べて接客の近さというかスタイルが違うのに驚いたんですけどやっぱり鳥取から始めたっていうのが大きいんでしょうか?

本池 んー、ちなみにスタッフも鳥取から連れて来たの。青山のお店に。

あとね、接客の違いに繋がるかどうかはわかんないけど、青山を選んだ理由が少しよそと違うのかもしれない。父親から昔の青山の話をよく聞かされててね。以前は革とかをそのまんま持って歩いてる人がいたり材料屋が結構あったりとかっていう話を。今の青山像ってハイブランドの店が立ち並んで綺麗なイメージだけど、僕はリアルな70年代の青山の話を聞いてて。

岡崎 そういう経緯も含めて青山に?

本池 そうそう。だから場所を青山に決めた。もう一回みたいな感じで。凄くいいなあって思ってたから。実は青山のルーツってもっとクリエーターがいっぱいいて物作ってるって。僕らの方が変わってることやってるじゃなくて青山はこうだったんだよみたいな。

岡崎 昔の型っていう感じですね。やっぱり接客も商品もすべて表にでてるような気がして。僕が偉そうに言う事じゃないんですけど何かカッコつけてるわけじゃなく、とても温かみのある感じがします。

本池 こういう雰囲気っていうのは凄く大事だと思っててね。うちの物なんて名前で売れるブランドじゃないと思ってるから、どういった雰囲気の場所に置いてあるかってすごい大事なの。置いてある場所とそれを紹介してくれる人柄でちょっと変わっちゃう。物が素だから。

岡崎 素っていうのは、雰囲気をそのまま纏えるってことですもんね。

本池 これ着てりゃおしゃれに見られるみたいなアイテムってあるじゃん。流行だったり。これ買ったらおしゃれになるんだとかさ。そんな魔法はかかんないよって思う。もっとみんなにとって自然なものであってほしいというか。うちのお客さんってそういうのちゃんと感じとってくれてるように思うんだよね。

岡崎 うちもそうです。常連さんも含めて。

本池 例えばさ、たまに帰るじゃん実家の米子に。もっとここより『MOTO』っていうのが日常に溢れてるんだよ。地元に行くと。病院行くと待ってるおばさんの髪留めが『MOTO』だったり、コンビニに行けば悪そう兄ちゃんの財布が『MOTO』だったり(笑)絶対東京ではないローカルのノリってのがあって。俺からするとすげーホッとするんだよね。雑誌とか見てない人も多いからトレンドを全く知らないしそこがいい!

岡崎 一番自然な物の広がり方ですよね。

本池 そこに馴染んでるっていうか、自然に広がっていってるっていうか。ほんとにね、米子にいると老若男女どこ行っても『MOTO』がある。そういう風にブランドを地元のみんなが盛り上げてくれたんだよね。

岡崎 今日は本当にありがとうございました。最後に聞くような事じゃないんでしょうけど、ずーっと作っててたまに作るの嫌にになったりした事とかないんですか?

本池 うん、めんどくさいよ、本当めちゃめちゃめんどくさいよ(笑)でもね、嫌いじゃないんだ。夜中の0時ぐらいから朝6時ぐらいまでやってね。19時に店閉めて一回帰って寝るんだけど、0時に起きて6時までやってまたちょっと寝てみたいな。誰もいない時にやるのは20代の頃から何も変わんない。まさか40超えても同じスタイル続けてると思わなかったけど(笑)一個だけ違うのは、店に来たらスタッフが居るからちゃんと掃除されてるとこ!そういうの超幸せ。20代の時はそのまんまでやってられない気持ちになってたから(笑)

〜対談を終えて〜

対談は以上となります。この後も話はつきませんでしたが、とてもリラックスした雰囲気の中で『MOTO』の本質、そして本池さんの「ものづくり」に対する自問自答の輪郭を垣間見ることができ、個人的にもとても充実した時間でした。
そして、少しだけ対談の中でも触れましたが、この日 本池さんが制作していたアイテムに思わず惹きつけられ、ここ「SLOW&STEADY」にてスペシャルなイベントが実現することとなりました!
2016年9月25日から1週間限定で〈MOTO×SLOW&STEADY 『ONE-OFF』〉と題し、『MOTO』デザイナー本池大介氏が1点ずつ再構築したスペシャルアイテムを、僕が個人的に集め続けているヴィンテージアイテムと掛け合わせ販売いたします。

最後に、このイベントが偶然実現した際のやりとりをほんの少しだけ載せつつ…〈MOTO×SLOW&STEADY 『ONE-OFF』〉皆様のご来場心よりお待ちして居ります

本池 ……どうかな?(イベント商材を眺めながら)みんな『MOTO』にこういった軍物のイメージは無いのかもしれないけれど、実は僕、ゴリゴリのこっち側でね。

岡崎 いいっす!ど真ん中っす!個人的にはそういうイメージはありましたよ。

本池 ほんと?あった?だからそういった部分も伝わればいいなって。この靴ってこういうコーディネートもありなんだーとか。古着なんかも全然合うよって感じで。

岡崎 良いですね。めっちゃ欲しいですもん。結局一番合わせやすいと言うか。これはうちのお客さんなんかは特に喜んでもらえると思います!

本池 え、本当?嬉しいねー。そうそう!インナーは白でってね。俺もうこの夏なんて白のタンクトップしか着てないよ笑

岡崎 でもそれが原点なような気がしますよね。

本池 でさ、リーバイスのこのパンツにさ、これUKじゃない?UKなのにもうずっとこれ!(2人爆笑)でもね、リラックスした感じで着る大人の雰囲気とかやっぱり一番伝えていきたいなって思うんだよね。

岡崎 そうですよね。色々あるけどやっぱり基本っていうか。本当マジで欲しい…抜群です。

本池 いい感じでしょ?どうせ手動かすなら一点ものでさ、そんなめちゃくちゃ高価な物ではなく手が出る一点ものっていう、自分だけのって感じがいいよね。でもそれが伝わる店でやりたいから。

岡崎 実は僕、もともと古着屋上がりで。新品と古着を混ぜるってのがやっぱり僕の中で一番の不動のカッコいいスタイルなんじゃないかなって思ってて。

本池 そうなんだ。古着屋だったとは。岡崎君好きそうだもんねー。今なんて高円寺、下北なんてめちゃめちゃ凄いらしいよ人。しかも女の子とかさ。レギュラーな古着を求めて集まってるらしくて。

岡崎 えー!でも今ブームではあるんですよね。

本池 そうそう。90年代の古着を求めてとか。ロゴが大きく入ってみたいな。それはそれで面白いよね。ひとつのブームだよね。

【対談:2016.07.22】

PROFILE

MOTO
オリジナルのレザーを使った靴やアクセサリーを展開。”元々最高の革などなく重要なのはどのように選択し作り、使われるかで最終的に人との関係性の先にしか価値は生まれない”という考えの基に製品を製作。多くの行程を経て、ユーザーのことを考えて作られた製品は末永く使用することができる。
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