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2016-03-18 Update

特別なことをやってたり、特別なルアーだって思われがちですけど、そんなことじゃないんですよ

岡崎  林さんキャンプされてるじゃないですか。釣りにしてもソルトに行かれたりとかされてますけど、釣り以外で熱中されてることってありますか?

  ないですね。釣りだけです。いろいろやってみようと思ったことはあったんですけど…登山とか、でも結局は釣りの話になっちゃうんですよ、釣りが大好きなんで。バスだけじゃなくてあっちもやってみようってなって気がついたら他に夢中になれないというか、夢中になるヒマがないというか。キャンプっていうのもおしゃれキャンプとかあったりして、いきなりMSRのテントとか買ったりするじゃないですか。ボクらの時代なんかはほんとにぶっちゃけ宿代浮かすというか、いちいちチャリンコで行くのが大変だから行って帰ってじゃなくて、もうそこに張って泊まっちゃおうみたいな(笑)そういうのって今のキャンプっていうのとは、おおよそかけ離れてる訳ですよ。なのでキャンプが趣味、夢中になってるかって言ったら夢中にはなってないですよ。

岡崎 釣りがあるからってことですね。

 そうですね。釣りがなかったらキャンプに凝ってるかっていったらそうでもないと思うし。もしかすると釣りがなかったらサーフィンに凝ってるかもしれないし登山に凝ってるかもしれないし。キャンプには凝ってないかもしれないですね。よく日本人にありがちな何もしないで過ごすのが苦手なタイプなんで(笑)キャンプで非日常を楽しみながらのんびりするってことは絶対無理なんです。何かをしてないと、ダメなんですよね。

岡崎 ブログ見てるだけでもかなりアクティブですもんね(笑)それだけ釣りが大好きな林さんなんで、オリジナル以外の商品のセレクトもかなり厳選して選ばれてる感じですか?

 やっぱりこう釣りって、バッグだったりプライヤーだったりいろんなアウトドアグッズみたいなのを使う訳ですよね?だけどその当時釣具屋っていうものには、いわゆるバスのトップウォーター系の店もそうなんですけれど、そういう考えってのはまだまだ浸透してなくて。釣具屋行ったあと、アウトドアショップに行って探さなきゃいけないってのが当たり前で。それだったら、釣具だけじゃなくてトータルでセレクトした物があってもいいんじゃないかっていう。そうすれば一回で済むんじゃない?みたいな(笑)

岡崎 林さんのブログを見てるんですけど、確かにそういうアウトドアグッズであり、トップウォーターの釣りをトータルでプロデュースしている印象はあります。特にスローテーパーはそれが嫌らしくなく、なくてはならないパーツとして本当に上手くまとまってる感じがします。

 それは当然のことだと思ってやってます。正直、釣りに使うバッグに力を入れるんだったら、人気のルアーを1個余計に仕入れた方がリスクは少ないし。グッズでも売れ筋となった物を仕入れるのは簡単だと思うんです。だけどやっぱそれって人の”2番煎じ”じゃないですか。やっぱりこう…男の子ですからね。やっぱりやるからには「誰かの真似ごとだけは嫌だ」ってのは自分の中にはありますから。自分が実際にお金を使って色々と試してみて、もちろんすごい失敗もあるし、失敗した中で使い続けてるもの、買ってよかったなみたいなもの、最終選考に残って迷ったものを置こうと思って。

岡崎 だから一個一個に説得力があるんですね。

 そういう自負はありますね。

岡崎 作る物へも、セレクトする物へも人生をかけてじゃないですけど、強い信念を持ち続けているからこそ業界の一線でやり続けていられるんですね。

 一線というか、たまたまそうなっちゃっただけですよ。みんな多分一線で活躍されてる人、世間一般でクローズアップされてる人って、アスリートじゃなければ一線でやってきたって感覚ではないと思うんですよね。好きとか、夢中になってて知らない間に一線でやってますよね、って言われるようになってきちゃっただけっていうか。例えばこのDVDにでもキャッチコピーってあるじゃないですか。トップ堂さんのDVDなんかでスタンダードという表現で言われることが多くなったっていうのがあるんですけど、スタンダードスタンダードって言われても自分自身ではスタンダードやってるって気持ちはないわけですよ。ただ、他の人が、自分を呼びやすいというか。区別しやすいからそう呼んだのがたまたまそれだっただけで、自分にはそういう感覚ってのが全くないですよね。

岡崎 僕はお店を始める準備とかで釣りを2年ぐらい完全に離れてた時期があるんですね。で、ようやくお店も落ち着いてきて釣りを再開して、また再熱してって感じで今に至るんです。その前から林さんの名前は知ってたし、DVDも死ぬほど見てるし(笑)

 DVDをやったときは結構前ですけど、そう言っていただけるのは嬉しいですね。自分よりお客さんのほうが詳しいというか、岡崎さんもそうだと思うんですけど自分でDVDやったとしても見ないと思うんですよ(笑)このシーンのこれを使ってるって言われても「ごめんなさい、忘れちゃいました」みたいな感じですよね(笑)

岡崎 友達やお客さん周りで回ししてるんですけど「林さん、あのペンシルで “チャッチャッチャッチャッ” ってアレ何回動かしてた?」とか(笑)「5回…いや3回だったよ」とか言いながら釣りしてます(笑)

 そうやって繰り返し見ていただいて本当にありがたいと思いますね。みなさん特別なことをやってるように思いがちですし特別なルアーだって思われがちですけど、自分のDVDはそんなことじゃなくて「当たり前のことを当たり前のようにやるとこれぐらいにはなるよ」って言うことなんですよ。ひとつひとつの当たり前を当たり前にやりましょうよっていうDVDなんです。

なかなか釣り以外で船で川に浮かんだりダムに浮かんだり、とかないと思うんですよ

 釣りっておもしろいもので生き物相手じゃないですか?魚とはしゃべれないし魚の気持ちは分からないわけですよ。でもこうなんじゃないかなっていうふうに思い続けていくのが大切なんです。ひとつ間違いなく言えることは「釣れるのも必然だし、釣れないのも必然」なんです。釣れない人はやってることが間違ってることが複数あるんですね。多分フィールドや地域にもよると思うんですけど、バスフィッシングの楽しいところは、自分のやってることが正しいか正しくないかが結果になって表れることです。しかもそれが割と身近な存在でいるっていうのはバスフィッシングの素晴らしさだと思うんです。これが一年に一匹しか釣れないような、一年に一回しか行けないようなものだったら、仮に自分がやってることが正しいか分からないと思うんですよね。たまたま釣れたかもしれないし、でもバスフィッシングってのは正しいことをやれば正しいことをやったなりの結果が、フィールドのパワーには応じますけど必ずついてくるので。上手くなったなら上手くなった先の、もっと楽しいことってのがあるんですよ。明日スクールをやって参加される方も、今でも見るもの触るものってのは新鮮で楽しいと思うんですけど、自分の技術が上がっていって自分が今までできなかったことがひとつずつできるようになったときに、さらにもっとすごい楽しみがあるんですよ。釣りの楽しさってエンドレスです。僕なんか今でも「あーなんじゃないかな、こーなんじゃないかな」って思いながら釣りしてるし。

岡崎 じゃあ林さんは釣りを始めたころから今でもテンションは変わらずに?

 やってますね(笑)でもまぁテンションの「質」ってのが多分若い時と今では違うとは思うんですよ。若い時ってのはある程度数も釣らなきゃ満足しなかった部分があったと思うし、スポーツザウルスってとこにいたのであくまでスポーツザウルスのオリジナルサイズの中で1匹でも多く、1センチでも大きい魚を釣りたいと思ったんですよ。でも今それと同じ気持ちか?って言われたらそうじゃなくて。釣れる数はどうしてもフィールドのパワーの状況によって全く違ってきますし、自分自身の釣行ペースもブラックバスだけをやってるわけじゃないので多少なりとも落ちて来てる中で、こだわるのは一匹の「質」ですよね。洋服と一緒じゃないですか?若い時っていろんな服とか買うと思うんですよ。でもある程度歳をとって行くと、服を買う数は少なくなるかもしれないけど、その分「質」が高いものを買うようになると思うんですよ。そういう感覚ですね。

岡崎 確かにそうですね。またうちなんかは特にこれから釣りをされる方って増えてくると思うんですよ。そんな釣りを始めたばかりの人や、いま釣りを楽しんでる人に伝えたいこととかありますか。

 さっき言ったようにステップアップすればステップアップしたなりに楽しさってどんどんあがってくるんですよ。今、楽しい、楽しそうって思っていただいてるお客様がいらっしゃるとするんだったらそれは楽しいんですよ、実際に。大の大人が何十年もやってるわけなんで、それぐらい楽しいのは間違いない…。でもそれでもやっぱりまだ分かんないなって底無しの部分もあるんで…。

岡崎 説明書がものすごい分厚いみたいな感じですか?

 そうですね。まずやってみてほしいですね。道具から入るのでもいいんですよ、かっこいいとか。釣りとは全く関係ない所から興味をもってやってくれても。まさにSLOW&STEADYさんがそうだと思うんですけど。で、やっていただければ多分楽しさは分かると思うんですよ。なかなか人生、釣り以外で船で川に浮かんだりダムに浮かんだり、とかないと思うんですよ。釣りをやる人でも、水面でガバッてルアーに魚が食いつくっていう釣りをしてる人ってそんなにいないと思うんです。そういう点でもやってみていただければ釣りの素晴らしさって分かると思うし。

岡崎 うちも始めさせていただいたばかりですが、しっかりとやっていこうと思っています。年に一回は釣りの大会をやったりだとか。もしあれでしたら、来年の大会でゲストで来ていただければ(笑)

 そうですね。ただ大会だとどうしても優劣になっちゃうんですけど、みんながね、集まって楽しくなればいいですね。

岡崎 SLOW&STEADYの大会では釣果が全てにはしたくないということは意識して企画立ててます。

 そうですね。それが一番ですよね。明日参加される方も本当のビギナーっていうお話なので、自分としても逆に吸収するだけなんで。伸びしろしかないんで楽しみです、本当に。

岡崎 本当に楽しみです。今日はありがとうございました。

〜対談を終えて〜

 ……ちなみに実際に投げる真似してみてください。

 なるほど…。岡崎さんのキャスティングだとルアーが着水する時の微妙な調整が難しくないですか?

岡崎 そうなんです!なんで分かるんですか?

 正しくはこうなんです。三脚あるじゃないですか、三脚って3本足だから立つんですよね。モノの安定って三点指示の確保が必要なんですよ。自転車も2輪だと倒れちゃうんですけど、三輪あるから倒れないんですよ。

岡崎 そんなんですね。いきなり僕、減点ですね (笑)

 はい (笑)キャスティングっていうのはメカニズムや理論でちゃんと教えてあげないと、人それぞれの感覚って全然違う訳ですよ。だから感覚で教えてしまうと伝言ゲームと同じ原理で、みんなが最後に全然違うことになっちゃうんです。あとキャスティングっていうのはコンパクトであればある程ブレる要素が少ないんです。例えばの話、短い竿でPEラインを使ってる人がよくやりがちなんですが、肘からよく投げてるんですよ。そうすると肘があって手首があってとぶれる要素が多いんですよ。脇をつけて肘をつけてやったらぶれる要素って少ない。当然ですが可動域が少なければ少ない方がぶれる要素が少ないんで。なんで時計の12時あたりの位置で竿を止めるとウチの竿はしなるようにできてるんですよ。ゴルフでもテニスでも大降りすればいいんじゃないっていう、インパクトの瞬間にいかに効率よく力が加わるかが大事なんですよ。

岡崎 なるほど。今のお話だけでも凄く分かりやすいですね。明日もよろしくお願いします。

【対談:2016.01.22】

PROFILE

Slowtaper
林宗朗(はやしむねあき)氏がプロデュースするトップウォーター・バスフィッシング・タックルブランド。机の上からではなくフィールドから生み出されるタックルは道具としての意味や静かに輝きを放つ様な拘り抜かれたシンプルでスタンダードなタックル達です。
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