SLOW&STEADY > INTERVIEWS > MACH55 長谷川正博
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2013-12-07 Update

当店でも着実にファンを増やしており、僕がSLOW&STEADYをオープンするにあたりどうしても外せなかったブランドでもある『FRANK LEDER』そのエージェント『MACH55』の代表である長谷川氏にMACH55のオフィスにてお話をお伺いすることが出来ました。

洋服デザイナーっていうよりも学者に近い

岡崎 早速ですが、来週から新しいコレクションの打ち合わせに行かれるんですよね?結構頻繁に行かれてるんですか?

長谷川 そうだね。まあでもね、お店の人ともそうだけど、僕はブランドとも一緒にやり始めるまでは結構話するタイプなんだよ。例えば岡ちゃんが「この洋服好きだ、売れる」って言っても放っておいて何もせずに売れる訳無いんだから。

耳障りのいい事をバンバン言うのは簡単だけど、物なんてそんな簡単に売れるもんじゃないからね。だからこそ信頼を築くまでのプロセスを大事にしてる。そこさえ築ければあとは任せる(笑)。
うちの場合は良くも悪くも全てのアイテム全買いだから、簡単に飛びつくのじゃなくて本当にいい物作るのか何シーズンか見て、その上で良ければ全部買うよって。一緒に飯食ったり色んな話して好みが合ったらあとは安心して任せられる。

そこは任せるからしっかりやってねっていう(笑)。だからこうやって関係が始まればそんな頻繁には会わないかな。でもフランクに関しては国が違うから、彼らはヨーロッパにマーケット持ってる訳だし、だから日本としてはっていう話はもちろんするよ。
この季節にこの生地は暑いとか、このサイズ感は大きいとかっていう。ただそこで大きく変更する必要も無いと思うけど。

岡崎 僕もそうなんですが、お客様の中にもフランクリーダーやエッセンスが放つ独特の世界観に惹かれているファンは多いんです。個人的にもフランクリーダーってどんな人なんだろうってすごく気になります。

長谷川 そうだね。簡単にいうとまだ38、9歳で、とにかく頭が良い。
洋服デザイナーっていうよりも学者に近い感じかな。
独自のスタンスを持ってるのは事実。周りのことなんか気にしてないからね。
売れそうだからこれ作ろうなんて全く思ってない。
ほんとマイペースだよ(笑)。

岡崎 ちゃんと作る物にも表れてるんですね(笑) 納得です。じゃあ、長谷川さんがみるフランクリーダーっていうブランドはどういうものですか?

長谷川 どういうブランドって言われたら数あるブランドの中の一つかな。
ただ男女関係と同じで、好きだから僕の中で特別っていうのはあるけど。
僕は大好きだよ、っていう感じかな。
例えば自分の彼女を友達に紹介して、そいつに嫌いって言われたら自分も嫌いになるのかっていうね。そうじゃないし、こいつの何を知ってんのっていう感じ。肌の臭いまで知ってるのかって(笑)。
洋服もそう。
見た目の外側だけじゃなく、細かい所も作り手さえも全てひっくるめて好きになる感じかな。

ただ新しいだけでは勝負にならない

岡崎 では、MACH55で扱うブランドをセレクトするにあたって最初に何か指標みたいなものがあれば教えて下さい。

長谷川 それはね、岡ちゃんと一緒だよ。うちなんかは卸業としてはそんなに規模が大きい方じゃないんだ。だから大きい所がやってるような事をそのままなぞっていくっていうのもちょっと違うと思う。しても勝てないし、そうなったら自分たちのカラーを出していかないといけないからね。
当然、こういう業界にいるから何をやれば一番飯が食えるってのはわかってる。
ただうちはその周りを固めていこうって感じかな。メインも重要だけど、同じぐらいスパイスも大切だし。

岡崎 じゃあ僕らがお店で展開するブランド選びとそんなに違いはないんですね

長谷川 同じだよ。僕がずっと思ってるのは、メーカーでも代理店でもショップでも、基本的には屋号が違ってるだけだと思ってる。すごい大きな会社の部門みたいなものっていう捉え方をしてて。まずは全員服が好きで、服好きだからこの業界に入ってきてる。好きだったら分かるよねっていうのがあるんだ。でも当然のことだけど、所属してる場所とか部門だったり規模感で考え方がどうしても変わっていく。

例えば自分の置かれているポストを守りたいとかね。そうなってくると売れる物しか見えなくなってきたりするんだよ。
そりゃ当然売れてなんぼなんだけど(笑)。でもね、周りが何といってもブレないで好きだと言えるのが大事だと思ってる。みんなもちろん千差万別好みはあるんだけど、本当に良いものだったりブランドを好きだってう気持ちは共感出来るはずだから。守りに入り過ぎて見失うよりは個性的であってほしい。あと、僕らはクリエイターじゃないからそこはデザイナーにお願いしてる。

野球のバッターで言ったら腰入れてバット振れよって(笑)。三振しても思いきり振れば皆全力で応援してくれるよって。でも中途半端な見逃し三振だけはするなよとは言うけどね(笑)。僕らは、人口が1億2千万人いてもその全員をターゲットにできる訳じゃ無い。ただ、好きな人にはちゃんと伝わるだろうって感じかな。それと、これは洋服に限らず飲食でも言える事だと思うんだけど、永く続けようと思ったら嘘は駄目。フランクリーダーにしても安くはないんだから、「高いよ」ってちゃんと言えて、高い理由をしっかり伝えた上で好きになってもらうことが大事。

岡崎 MACH55って2000年設立ですよね。常に変化してるこの業界で13年やってこられて、明らかにここは変わったなって所ってありますか?

長谷川 基本的には変わらないんだけど、ただ一つ言えるのはインターネットがこれだけ普及して、誰でも情報を簡単に集められるようになった事かな。
以前は珍しい物や新しい物を見つけるのはバイヤーがする仕事だったんだよね。それが今では誰も知らないものを探すのが難しくなってる。そうなってくると、ただ新しいだけでは勝負にならないよね。
今のバイヤーさんがやらなくちゃいけないのは、いかにバイイングしてきたものを育てられるかだよね。育てた上で継続出来るかっていうのが重要になってきた。
唯一変わった所で言えばそこかな。

洋服なんて絶対一生懸命やんないと売れない

長谷川 もちろんファッションというものは流動的で、その中で回っているマーケットなんだけど、そこで永く続けて、一緒に成長していけるかどうかっていうのはすごく考えてる。
それで言ったらうちでやってるブランドのデザイナーはみんなまだ若いんだよね。フランクだってまだ30代だし。いろんな失敗も重ねてデザイナーとして脂が乗ってくるのってだいたい40を超えてからなんだよ。だからこれから更にもっと良くなっていくだろうしまだまだ大きくなっていくと思ってる。
他のブランドだってそうだけど、これからの可能性に賭けるっていうのかな。その為には我慢の時期もあるだろうけれど、デザイナーと一緒に僕らも我慢するし、信じることだよね。

ただフランクリーダーで言えば今以上に良くなってくる時期に僕が現場に入れるのかっていうのはあるけどね(笑)。だからこそ僕はエージェントやってるからってデザイナーに会っても褒めちぎるとか一切しない。逆に日本からの要望やこのアイテムこうした方がいいんじゃないとか、値段高くて売れないよ、とか悪いことばっか言ってる(笑)。それで少しでも良くなればお客さん達も喜ぶだろうし、デザイナーのポテンシャルを上げる事にも繋がると思ってるから。さっきも言ったけど、若いんだからトライしろって。

岡崎 …ある意味親代わりみたいな感じですね。

長谷川 岡ちゃん、オレまだそんな年じゃねーよ(笑)!

岡崎 でもそういう掛け合いの中、気持ちを送りながら良くしていってるって事ですよね

長谷川 そう。たださっきの話と重複するけどみんなチームなんだよ。たまたま分かれてやってるだけで企画のチームはベルリンにいます、セールス部門は東京、販売店が全国各地にありますってだけで、大きい小さいは関係ない。そのブランドに関わる人全員がチームで、1つのブランドをハンドリングしてると思ってる。そのチームみんなでマーケットを作ろうぜって意識で動いてる。だからマーケットを作ろうぜって事は失敗もあるのよ。でも結果的に10勝9敗の戦いにもってくんだよ。そうやって皆でブランドを育てていければいいなと思ってる。良い事ばっかり言ってても物は売れないし、いいとこ10個で駄目なとこ9個あったとしても根底に好きだっていう認めてる気持ちがあるから、ネガティブな話だって結果気持ちいい話になると思うんだ。

岡崎 うちもまだまだこれからですが、一員としてがんばります。お話を聞いてて思ったんですが、うちなんかは地方でその上新規の店っていう環境の中、フランクリーダーが皆さんに受け入れられたのは洋服としてのクオリティーはもちろんなんですが、プラス、企画チームとセールスチームの好きだという熱が洋服や僕にも伝わった結果もあるのかもしれないです。

長谷川 とにかく真剣にやってるからね。フランクリーダーなんて始まってから数年はほんっと売れなかった。10年前ぐらい。
僕もそうだけど、スタートからやってる店鋪さんとかもキツかったと思う。消化率10%とかだよ。
値段も今よりもっと高かったし。普通はやらないよね。僕も「売れないよ」って言ってたし。

それでも「好きだからやります、続けます」って言ってくれて。その当時からお取引してる所って不思議なんだけど未だに1店鋪も止めてないんだよね。それがある意味僕の自慢かな。

岡崎 皆さんカッコいい。男気全開ですね。それにしても消化率10%は凄いな~。完全に気合い一本ですよね。

長谷川 洋服なんて絶対一生懸命やんないと売れないよ。フランクリーダーを好きなチームが全国にいてその皆が真摯に頑張ってるからこうなってんだよね。あとフランク自身、新規でお客さんを広げていこうっていうのじゃなくて、フランクリーダーを好きで待ってくれている人達の為に、もっと好きになってくれるようにってやってるから。

今後もどんどんバージョンアップしていくと思うよ。でもお客さんの熱が凄いからそうじゃない人達まで商品が回らないって良く聞くんだけど、それはそれでどうかなっていうのもあるけどね(笑)。
あとフランクとも話してんだけど東京は何度も来てよく分かったから、これからは色んな地方回ろうって言ってる。その土地での空気感とか土地柄とかあるしね。

岡崎 そのときは是非徳島にもいらして下さい!
美味しいお酒と地物をご案内します。

長谷川 是非いきたいね~。

【対談:2013.11.22】

PROFILE

長谷川正博(ハセガワ マサヒロ)
MACH55 Ltd. ディレクター / CEO 『FRANK LEDER』『the essence』『colenimo』などをはじめとする数多くの海外デザイナーを主とした洋服、服飾雑貨の輸入、卸販売ディトリビューション及びPR業務を行う。
http://www.mach55.com
MACH55 Ltd.(有限会社マッハゴーゴー)

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〒150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-20-5救世軍ビル3F
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