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2018-11-02 Update

当店5周年記念企画『SLOW&STEADY Anniversary Year Events “5th station”』にて、PHIGVEL のアイテムの中で個人的にもいちばん思い入れのあるパンツ「MIL TROUSERS」を再構築し、リリースしていただきます。それに際して PHIGVEL ディレクター東野英樹さん、プレス田上歩さんに、PHIGVELというブランドについて、今回色々とお話をお伺いしました。

まさか自分のブランドを立ち上げるとは思ってなかったんです。

岡崎 まずは、2002年からですよね。そこからスタートして16年。ブランドを立ち上げた経緯とかを簡単に教えてください。

東野 経緯っていうか、特にコレっていうきっかけがあった訳じゃないんですよ。高校卒業後、上京してから1年後くらいに洋服屋で働きだして、そこには6年ほどいたんですけど。19歳のときに入って25歳で辞めたかな。ちょうどそのタイミングで独立してって感じでした。

岡崎 それってヘクティックですか?

東野 そうそう。僕が入ったときは、まだ小さなお店が1件しかなくて全員で5、6人とかしかいない所だったんですよ。シュプリームとかホームズ(※後のサイラス)、ポロなんかをセレクトしてて、いわゆる90年代のセレクトショップみたいな感じですよね。その感じが好きで働き始めて。で、徐々にオリジナルのラインも始めてブランド化していき、それで会社も大きくなっていって。もちろんお店も大きくなって地方店も出来て、気がついたら従業員もすごい人数になっていてね。会社が成長して、入った当初とは大きく変化していったんです。頑張っているうちに、ふと最初の頃の好きで楽しんでやっていた頃とは何か違うなって思うようになってきて。当時はとにかく勢いが凄かったので、ぐっと上がっている最中だったのかな、、だからタイミングとしては今かなと思って独立する形をとったんですよ。元々入社時に思ってた事は、最終的に自分のお店をやりたいなとか漠然とそんな感じで、まさか自分のブランドを立ち上げるとまでは思ってなかったんですよ。

岡崎 え、そうなんですか!?

東野 そうなんですよ(笑)ほんと漠然と。自分のお店をやりたいっていう。

岡崎 初めはそっちだったんですね

東野 そう。オリジナルブランドを作ってブランドの店をやるのか、セレクトショップをやるのか、買い付けてきたままやるのか。そんな具体的なことまでは何にも決めてなかったんですよね。

岡崎 びっくりしました。最初から作り手側に興味があってとかではなかったんですね。

東野 いや、それはヘクティックに入って働き出してから芽生えた気持ちだったんですよ。作ることの楽しさとか。バイトから始まり社員になってそしてお店の店長になって、次は事務所での作業に入って、最後はずっとデザインアシスタントとか生産等の服作りの部門で終わったんですけど、その時くらいですね、洋服作りが面白いなって感じたのは。

岡崎 それは何歳くらいの時ですか?

東野 23歳とかそれくらいの時かな。洋服作りに携わったのは丸々2年くらいで。

岡崎 じゃあもうフィグベルが始まったのは、辞めてすぐですか?

東野 そう、辞めてすぐ。会社に辞めるって言ってからワンシーズンはいたんです。秋冬だったかな、、秋冬やって辞めて、そして自分のブランドは春夏からスタートして。だから間が無いんですよね。ほんと辞めてすぐ。

岡崎 じゃあ、フィグベルのブランドコンセプトのニュークラシックっていうのはいつ頃から着想されてたんですか?

東野 んー、ヘクティックの後半あたりかな。岡崎君も分かるようにヘクティックと今僕がやってることって結構違うと思うんですよ。ヘクティックって凄く面白いとこで、社長がビンテージキングのメインバイヤーだった人で、そこにスケーターで俳優のヨッピーがいて、ストリートブランドでっていう所だったんだけど、そういう他ジャンルの人がいて様々な物が混じり合ってたのがヘクティックだったんです。それが本当に楽しかったですね。ヘクティックって「てんてこ舞い」とか「ガチャガチャしてる」って意味なんですけど、本当正にそんな所で。で、自分はどうしようと。全く同じことをやるんだったら独立するアレも無いしな。って色々考えて、、自分が表現できる明確なスタイルってなんだろうって、模索しながら始めたところはあるんですけどね。

岡崎 それがだんだんと1つの形になっていったんですね。

スタイルはブランドの魅力に直結する。

東野 僕、違和感のあるものに魅かれるんです。当時スケートボードとかもやってて、その時から好きだった、パッと見いわゆるスケーターっぽくない格好でやってる人達がいて。見た目だけでいったらスケーターって分からない感じで颯爽とスケートしててね。そういう格好でスケートしててもアリなんだと。そこの違和感みたいなのが好きで。なんか定石な感じよりはそっちの方に魅かれてしまうっていう。じゃあ僕はこっちかなと。シュッとした綺麗めだったり質の良い物だったりそういうモノを使った洋服を作ってみようって。そこから色々な物に興味を持って、掘り下げてワークウェアだったり、ファッションに目覚めた最初の入りが古着だったから古着も取り入れてみようとか。そういった経緯だったんです。

岡崎 そうなんですね、もうバシッと最初から一貫して現在まで見えてて動いてきたのかなって思ってました。

東野 いやいや もう全く!(笑)今のスタンスも、変わったと言われれば変わっていってる所もあるかもしれないけど、そんなに目に見えて変わったかって言われたら変わってないかもしれない。そんな感じです。10数年先のことが見えてたら超人だからね(笑)

岡崎 僕は前職のお店の頃からフィグベルの洋服をずっと見させていただいて、今現在もご縁があってやらせていただいて、手にとって着続けていちばん感じるのは僕たちにちゃんと寄り添ってくれつつ格好いいものをちゃんとプラスしてくれる洋服だなって思ってて。例えば東野さんの好きな物が全身全霊で洋服に出ててゴリゴリに濃いとか、そういうのじゃなくて、他にも色んな要素が上手いこと入ってそこでバランスを取ってくれてて、1番格好いい所でおとしてくれている。さっきおっしゃっていたように、シュッとしてても古着っぽい要素があったり、こだわる所はとことんこだわってっていう、そういう部分に僕個人としては凄くやられてるんですけど。実際、作る時にここはブレないでおこうっていう軸みたいなものはあるんですか?

東野 んー、作ることに対してのこだわりで言えば、ただ良い物をあげたいってだけなんですけど。でも一言に良い物って言っても定義が難しいじゃないですか。人それぞれだから。全員に合わせるのは不可能な物だと思うから、自分達の感覚の部分になっちゃうけど、フィグベルらしいものというのが基準で作っています。流れ的にこういう物もあってもいいよねみたいな企画も中にはあるんですけど、でも極力やっぱり、自分達の出したい物だったり、今自分達が感じてる物だったりがちゃんと反映された物をリリースしていきたいって思いがあって。やっぱり自分達が良いなと思ってないと胸張ってリリースもできないでしょう。僕自身、ブランドって成長していくものだと思ってて。今ってね、パッとブランド立ち上げて洋服作るのは全然できると思うんですよ。ある程度何でも揃ってるし、こういうの作りたいなぁとかで。それはそれで良いと思うんです。そうやって多種多様なブランドが増えて切磋琢磨と刺激し合って様々な物も産まれてくるから。そういうのも良いと思うんですけど、ただスタイルみたいな物ってパッと生まれる物じゃなくて、そこだけは長く続けていく上で出来上がっていく物だと思ってて。スタイルはブランドの魅力に直結する所で大事な部分だと思っています。だから単純に物作りって言ってもまあまあ難しい事だなって。続ける事ひとつとっても簡単な事じゃないしね。

岡崎 誰でも始めることが出来るけど、そういった部分で難しさは、、、

東野 うん、あると思う。素材にしても縫製にしても、ただうんちくを語りたくてココの所がこうなってるから良いんだよ。みたいなのって極端にいうとただの自己満足になりすぎちゃうでしょ。だからそこは押し付けがましくいかないでいこうとか、バランスを考えるよね。この部分は絶対譲れないなとかはもちろんあったりするけど、まあここは妥協できるなとか。しっかり臨機応変に、最終的に良い形に着地できればいいなと思ってます。

岡崎 作る上で譲れない部分って例えばどんな所が多いですか?

東野 シルエットや全体のサイズバランスなんかはもちろんだけど、生地感だったりとか色味には一番気を使ってるかもね。けど失敗もするんですよ。途中過程で、あ、こうなったかー、、、みたいな。失敗して、よしこれはもう勉強した。って思うんですよ。この素材初めてやったけど、これってこういう風になるんだっていうのをその時にやってみて初めて理解して。で、この部分は学んだから次は絶対間違わないって思ってまた次作るんだけど、あー、まだこういう事があったかってやっぱ起こるんですよね。だから面白いんです。

岡崎 そんな中、試行錯誤を重ねて今のクオリティに至るってことですよね。

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