S&S / BLOG Jul 9, 2022
Text:OKAZAKI MASAHIRO
毎週noteを使って連載している『僕の洋服物語』というマガジンを これからはこのブログでも公開していきます。よければnoteも覗いていただければ嬉しいです。今回はFRANK LEDERとの出会いを描いてみました。
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中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した、洋服、モノにまつわるアレコレを。

これは、『おすすめアイテムの紹介』ではない。『私物紹介』でもない。

自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と”モノ” との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。

読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。

『FRANK LEDER 』 “60’s VINTAGE BEDSHEET OLD STYLE STAND COLLAR SHIRT” 

今回紹介するのは、店のメインブランドであるドイツのメーカー『フランクリーダー』のシャツ。どんなものか?誰?って疑問に思う人も多いだろうから、軽く先に説明だけしておく。 

『フランクリーダー』

ドイツのファッションブランド

創業者のフランク・リーダーは、1974年、ドイツ生まれ。セントマーチンズでファッションを学ぶ。ロンドン芸術大学のなかでも名門と呼ばれる、セントマーチンを卒業。卒業コレクションにおいて、審査員だったアレクサンダー・マックイーンがフランク リーダーのコレクションを絶賛したという逸話が残っている。

1999年ロンドンにてコレクションを発表。

2001年、ドイツ銀行・ピラミツド・アワードを受賞 (ドイツ銀行とロンドン芸術大学が開催する若手デザイナー・写真家向けの賞)。

2002年、パリにてメンズウェアのコレクションを発表。

2002年、拠点をベルリンに移す。

このシャツとの思い出は数えきれないほど無数にある。
私の店にとってはなくてはならない大切な洋服ブランドが作るシャツであり、このシャツはなぜか私の重要な場面で、無意識に必ず手に取っている。

知っている人からすれば「なんで?」と思われる方もいるだろう。
日本にも40店舗ほど取り扱いをしている店はあるが、誰しもが着れるような万人受けはしない、生粋の職人肌ブランド。

洋服好きからは絶大な支持を得ているものの、
店のメインにする人間は日本、いや世界中で僕だけだと言い切れる。

確かに、ドイツの古い歴史をもとに古き良き伝統を継承しつつ、独自のフィルターで語られる洋服たちは、すべからく”普通” ではない。

このシャツも然り。
ブランドのアイコンとも呼べる、今から約80年前に作られた、ベッドシーツをデザイナー自身がドイツ国内を探し回り作られるこのシャツは、手に取った印象を素直に伝えると、リリースのタイミングによってばらつきはあるが、新品の状態で手に取ると驚くほどハリが強く固い。

加えて『オールドスタイル』と呼ばれる、ヨーロッパの古くから作られていたシャツのシルエットを採用しているため着丈が長くシルエットも独特。

そんな私とフランクリーダーの出会いは、開業準備をスタートさせた12年前。

もちろん取り扱いはしたいと思っていたが、まさか店のメインブランドになるなんてのは考えておらず、開業予定の店舗資料を携え『初めてフランクリーダーの展示会(仕入れ交渉)』に向かった。

私とシャツとの出会い

「初めまして。電話でお伝えさせていただいた徳島の岡崎です。開業する自分の店でフランクリーダーをやらせていただけないでしょうか?田舎でずっと洋服しかしてません。フランクリーダーは憧れのブランドですが、1着も持ってません。これから僕が着たいんです」と正直に伝えた。

代理店の社長はひとこと。

「まず見て、着てみろ」

だった。緊張しながら一通りの商品に目を通す。会場の隅にコーナーとして陳列されていた、アンティークベッドリネンシャツに目が止まる。近づき、手に取ってみる。

「…ハリがすごい。着心地は良くなさそう。」

試着をしようとすると、社長は

「新品を着てもわかんねーだろ。これ着てみろ。」

そう言って社長が着ていたシャツを手渡ししてくれた。試しに着てみる。

驚くほど柔らかい…しかも素材のハリやコシはしっかりと残っている。ざらついた質感はなく滑らかで品のある手触り。全体にうっすら入っているシワが男らしくも色っぽい表情。


何より体に寄り添うシルエット。

初めて、ただのシャツに鳥肌がたった。
その瞬間、私はこのシャツに「負けた」のだ。

販売員が感動させられ、心躍らせられたら、店で販売しないと意味がない。
なんとしても交渉しようと決めた。
そんなことを考えていることを知ってか知らずか、社長は続けて私にこういった。

「売れねーぞ。簡単には。それでもいいならやってみろ。なあオカ(岡崎)!」

いきなり取引OKをもらい、僕のあだ名まで作られた笑。

半信半疑。よくわからなかったが、ひとまずお礼を言い本格的に他のアイテムも試着をしてみる。

着るたびに驚かされた。
アクが強いと思っていたフランクリーダーの洋服は、実際に着てみると驚くほど体に馴染む。

見た目に反して着やすく合わせやすい。
まさにリアルクローズだった。

圧倒され魅了された。

さらに「簡単には売れねーぞ」その言葉が私の心に火をつけた。

店のメインブランドは私の販売員としての直感と、プライドをくすぐったその社長の言葉で決まった笑。

開業後の物語

シャツの話に戻るが、社長の言う通り、開業後の1年はかなり苦戦した。

伝えても伝えても、価格とデザインが田舎には合わないのは十分承知でスタートさせたが、想像以上に売れなかった。

悔しくて仕方なかったが、毎日のようにこのシャツを着て店頭に立ち、触ってもらい着てもらった。他のアイテムも同様に、私が着ているものをお客さんたちに試着してもらうことを続けた結果、

2年目から驚くように売れ始め、今では「フランクリーダー」全国屈指の販売店舗となった。

さらに2年前(コロナ以前)、こんな田舎にフランクリーダー本人が遊びに来てくれた。当店のインタビュー記事にも快く出演してくれた。

【過去インタビュー記事】

Interview with Frank Leder|SLOW AND STEADYslow-and-steady.com

田舎の店に来てくれること自体が大事件だが、1日ポップアップイベントを行い、

フランクも社長も私の友人たちも交えて朝まで飲み明かした。

来日時書いていただいたデザイナーのサイン

「ドイツ、東京、徳島、3つ目の僕の故郷ができた」

そう言ってくれたことが何よりも嬉しい。コロナで延期になっているものの、必ず次の来日時にも遊びに来てくれることを願っている。

80年前の素材が語りかけてくる感覚

「新品着ても洋服の良さなんてわからねーよ」

社長のその言葉は30歳以降の私の洋服の価値観を大きく変えるほどの名言だった。

見た目を気にするあまり本質を見失いそうになっている洋服が少ないとは言えない現代において、このシャツはいつも私に泥臭い遠回りをさせる。

「楽に売れるものを売ろうとするな」
とクローゼットから叫んでくる。自分を厳しく律することのできる強いシャツ。

それぞれの生活に寄り添いながら育つシャツ。

事あるごとにこいつを褒める自分が悔しいが、
文句なく素晴らしい。

以下、noteより。

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この記事を書いたひと
岡崎 昌弘OKAZAKI MASAHIRO | sas_okazaki
1981年生まれ SLOW&STEADY 代表。18歳の時より地元の古着屋へ勤務。その後同じく県内のセレクトショップ勤務を経て2013年「SLOW&STEADY」をオープンさせる。
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