S&S / BLOG Jun 10, 2017
Text:OKAZAKI MASAHIRO
軍モノの中でも「名作」と言われる所以が随所に感じられる、普遍的な魅力を持つフレンチカーゴパンツ「M-47」のその魅力について
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このブログでも再三にわたり、現代の洋服とミリタリーアイテムとの深い関係性についてはご紹介してきましたが、
今回は6月中に大量入荷予定の、フレンチミリタリーの代表とも言えるアイテム M-47 カーゴパンツ について。

M-47 カーゴパンツ

カーゴパンツとはその名前の通り、貨物船で作業する人達の間で使われるようになったワークパンツ(CARGO=貨物)。
厚く丈夫な生地と、腰をかがめた時にも物の出し入れがしやすい左右の大きなフラップポケットが特徴的なパンツですが、
1940年代頃からミリタリーアイテムとして採用され始め、総称して カーゴパンツ という名称で呼ばれるようになり、現代に至ります。

今回の M−47 だけで言うと、フランス軍が1947年に採用し、1960年代まで生産されていたものがそれにあたります。
(今回は省きますが、共地のジャケットなども存在します)

さらにこの カーゴパンツ 大きく2種類に分けることができるのですが、それが1940年代~1950年代に生産され足元までワイドなシルエットと厚手のコットンツイルを使用している「前期モデル」と、1960年代に生産されやや細みのシルエットとシャープなヒップ周り、素材が薄手のコットンヘリンボーンに変更された「後期モデル」。

生産された時期・シルエット・そして素材によって、前期・後期と区別されているのですが、一目瞭然の見分け方が実はあります。

それが、このフロントボタン。
フロントボタンが縦に2つ付いている前期モデル(左)に対し、後期モデル(右)はボタンが1つ。
同じ前期、後期のものでも年代によって(ボタンの材質がメタルから樹脂ボタンになるなど)細かい違いはあれど、数を見ればどちらかが分かります。

軍モノ カーゴパンツ の中でも「名作」と唱われる M-47



フラップ裏や股の当て布、ポケットの仕立て、裾のアジャスターなど細部まで丁寧に作り込まれたディテールとデザイン性の高さ。そしてコットン素材特有の経年変化と、軍モノの中でも「名作」と言われる所以が随所に感じられます。

さらに、この M-47 を語る際に必ずと言っていいほど出てくる『1990年代にマルタンマルジェラが M-47 を裏返しにして再構築し、アーティザナルラインで発表した』という有名な話があるのですが、その理由が「フランスの縫製技術を世界に示すため」というところも、その完成度の高さを裏付けています。

サイズ表記も特殊。左の数字がレングスサイズ、右の数字がウエストサイズを表しています。
(作られた年代などで、同じサイズの未使用品でも多少の誤差があるようです)

最後に

当店のラインナップとしても定番的に展開したいと思い続けていたこの M-47 ですが、
ユーロ市場においても年々枯渇が進んでいるらしく、特にデットストック(未使用品)ともなると、
まとまった数量・サイズ展開は相当難しいという現状に半ば諦めかけていました。

そんな中、偶然の産物とも言うべき嬉しい出会いがあり、今回ある程度の量とサイズのデッドストックを確保することが出来ました!(6月中入荷予定)

僕自身も大好きなアイテムです。
出来る限り、定番的に当店のラインナップとして店頭でお見せ出来れば良いのですが、いかんせん古い物ですので、いつまで入荷できるか全く分かりません。
入荷の際には改めてSNS等で告知致しますので、この機会をぜひお見逃しなく!

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この記事を書いたひと
岡崎 昌弘OKAZAKI MASAHIRO | at_slowandsteady
1981年生まれ SLOW&STEADY 代表。18歳の時より地元の古着屋へ勤務。その後同じく県内のセレクトショップ勤務を経て2013年「SLOW&STEADY」をオープンさせる。ブログとは別で文章形SNS『NOTE』にて洋服にまつわる記事を毎日更新しています。 『NOTE』 https://note.com/slwanstdy
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