S&S / BLOG Aug 26, 2022
Text:Sato Yohei
8月の頭から募集させていただいていた当店作文企画、今回のテーマは「洋服にまつわる夏の思い出」。予想以上の応募数で大変楽しく読ませていただきました。たくさんのご応募誠にありがとうございます。結果発表ということで入賞作品を本ブログにて公開させていただこうと思います‼︎
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先日のブログで詳細を公開し、8/1より募集させていただきました、当店作文企画。今回は、「洋服にまつわる夏の思い出」をテーマとしたものだったのですが本当にたくさんのご応募ありがとうございました。一つの映画、アニメ、音楽、どれ一つとっても観た人聴いた人によって感想や心打たれるシーンってそれぞれ変わってくると思うんです。自分の思い出のどこを切り取ったのか、なぜそこが思い出されたのか、みたいなところに非常にパーソナルな要素が詰まっている気がしています。そんなことを考えながら、大変興味深く時には目頭が熱くなりながら、じっくりと読ませていただきました。

今回は、結果発表ということで大賞・副賞・特別賞に選ばれた方々の作文をここで紹介させていただきます。

大賞作品 『文章としてまとまりがあり、時系列に沿った思い出を読むことができる。スタッフ全員一致の大賞です!』

大学生の時は自分が半年間も洋服を買わなくなるとは思ってもいなかった。社会人になり洋服の事を考える時間は想像以上に激減した。だからこそ洋服との思い出は本当にかけがえのない時間のように感じる。 毎月のアルバイト代が出る度に胸を高鳴らせ自転車のペダルを掻き回し新しい洋服の入った紙袋を持って帰った日々も懐かしい。帰宅するなり鏡の前で一人ファッションショーを開催する事が何よりも幸せを感じる瞬間だった。

大学3年生の夏休み、幸せなことに洋服の事で頭がいっぱいだった。購入したばかりの生デニムを履いて行く事しか考えていなかった沖縄旅行。ガチガチの生デニムと厚手の白いTシャツがその時の僕の一丁羅だった。少し歩くだけで汗だくになる体や髪の毛。硬すぎて折り畳めず無理やりいれたゆえに不恰好な形になった鞄。どちらもお洒落とはほど遠い姿だったと思う。でも、あの頃の写真を振り返ると自信に満ち溢れた顔つきをしていた。そこには洋服の力を信じて止まない自分がいた。

先月、半年ぶりに洋服を購入した。徳島から届いた紙袋にはあの頃の自分を優しく包み込みながら、新しい価値観を見出してくれる洋服が入っていた。久しぶりに鏡の前で新品の洋服に袖を通すと今まで自分が出会った洋服の思い出が丸々詰まったそんな特別な1着に思えた。

今までは出会う洋服が全て新鮮に見えて気がつけば洋服にのめり込んでいたが、いまは少し違う気がする。持っていない洋服を集める事に必死になっていた自分に、過去や現在の自分を見つめ直す時間を与えてくれた気がしている。過去の経験が今の自分を作り出すように、本気で向き合った洋服たちとの思い出がこれから身に纏う洋服を見出してくれる。だからこそ、これからも洋服を信じて素敵な思い出を作り上げたい。それができれば僕はこの先もっともっと洋服を好きになれると思うから。

大阪府在住(PN.洋服は友達 様)

副賞:『夏らしいまさにお題に沿った内容の物語でした。蝉の鳴き声すら聞こえてくる文章です』

 遠い夏の日、私は小学四年生だった。蝉時雨が鳴り止まない中、網を片手に友だちと魚取りに出かけていた。汗だくで家に帰ると、祖母から声がかかった。

「作ってみたけん着てみい」(※作ったから着てみて)

手渡されたのはノースリーブの白いワンピース。少しのフリルとリボンがあしらわれつつも、派手さはなく、子どもが着るにしては上品な服だったと思う。ありがとうと言って受け取り、いそいそと家の中で着替える。しかし着てみたものの慣れなくて直ぐに脱いだ。当時はまだお洒落というものが分からず、とにかく機能性重視の服ばかり着ていた。お下がりの赤いパーカーとスパッツばかり身につけていた。

 同年代の子の中には既に雑誌を広げてお気に入りのブランドを持つような子もいたが、とにかく私はそういったものに興味を持つのが遅かった。

置いていかれるんじゃないかと妙な焦りを抱きつつもどう興味を持てばいいか分からなかったのだ。ただ、そんな私にも祖母の作ったその一着は特別だと感じていた。白くてひらひらした服は直ぐに汚しそうで毎日は着なかったが、それを着るとなんだか背が伸びたような気持ちになった。

初めて着て出かけた日はそわそわしたものだ。そのそわそわをまた味わいたくて、一度着てからは近所のスーパーの買い出しについて行く際も着るようになった。不思議なもので、二度、三度と着る回数を重ねる内に着る前に感じていた敷居の高さのようなものは薄まっていった。程なくして思春期と呼ばれる時期に突入し体格も変わった。作ってもらった服も合わなくなったが、名残惜しくて手元に残していた。

 時は現代にうつる。あれから一体何着の特別な服に出会い卒業しただろうか。きっと色んな服を卒業する度に私は脱皮していたのだ。さながら地中で成長する蝉のように。木に止まる蝉の抜け殻を見る度に、しゃわしゃわと蝉が鳴く度に、君たちは完全体になったのだなぁと思う。まだまだ未熟な自分は、精々あと何度かの「脱皮」を存分に楽しんで生きていたい。

 それと最後に、今だから言える。自分の「好き」に出会うのに人と競争しなくてもいいよ、お洒落に遅いも早いもないよと。いつだって感じたその一着に素直になることが大切なんだよと。

徳島県在住:PN.新樹光

特別賞:『お題とは少し違いますが独自の物語ということで特別賞を送ります!』

「脚きたないな」。「脚ふとなったな」。

中学生の時に先輩から一言、高校の時の同級生から一言。思春期の私にはきつい二言だった。元々毛深いことを気にしていた私には、強烈な二言だった。中学の先輩の発言以降、私服では短パンを履く自信がなくなり、夏でもくるぶしが隠れるほどのパンツばかり履いていた。皆からは「暑くないん?」と聞かれるが、暑さ以上に汚さを避けたかった。

私服では脚の毛は隠せたが、体育や部活ではどうしても出さなくてはいけない。仕方なく脚を出していたが、ある時「剃ってみよ」と思い、祖父の髭剃りで脚の毛を剃った。仕上がりは控えめに言っても最高。「めっちゃ簡単にきれいになれた」そう思って、気になったら剃る、を繰り返し、数か月は満足していた。

しかし、簡単に手に入れた自信はすぐに打ち砕かれた。毛がどんどん濃くなり、剃っても剃っても黒い点が残る。さらに、髭剃りを使っていたこともあってか、肌が炎症を起こし、前の状態よりも悪化。「最悪や、これやったら剃らんかったらよかった」、そうは思いながらも剃られたことでより濃くなって生えてきた毛を剃らないと気が済まなくなっていた。どんどん悪循環していき、結局また隠すように。

高校に入ってもずっと隠していた。体育の時間だけ脚は出していたけれど、目線は気になる。見られていないのだろうが気になる。毛のことを相談できる相手もおらず、憂鬱な夏の体育。そんな時、「脚ふとなったな」この発言が襲ってきた。やはり脚を見ていたのか、太くなったという事は前々から見ていて変化に気づいたのか、毛のことも見ていたのか、いろんなこと連想してしまい、もっと夏の短パンが嫌いになった。汚さに加えて太くなった。こんな自分の脚が嫌いになってくるのと同時に、「なぜそんなことをあなたに言われなければ言われないの、言われっぱなしはむかつくな。でも言い返したらあいつと一緒や。なら脚をきれいやって思わしたろ」、とここから反撃体制になった。中学の時にはなかったスマホ、校区外へ行ける権利、お小遣いをフルに活用して、反撃開始。

毛は脱毛が一番だが、お金がないので、トリミング用の剃刀で処理、ケアとして保湿を万全にする。太さにはまずはウォーキングという事で、バス停までの道のりは必ず歩くように、そして散歩もするように、時には友人をダイエット名目で巻き込み、縄跳びを一緒にしたり、バレーやテニスに誘い定期的に運動をするようにした。効果はすぐには出なかった。卒業までに変化が出ていた自信はないが、今年に入り、短パンを試着した際に、店長さんからきれいだとほめていただいた。

現在、私は自信をもって脚を出せる。そして、たくさんのことを調べていく中で体毛を剃らないことが美しいとする価値観、ありのままの姿が一番美しいという価値観、そんな価値観を知らなかった私、負けず嫌いな私、たくさんのことを気づかせてくれた。最も感謝すべきは、自信は自分でつけられること、これを教えてくれたことだ。

今思えばよくこんな面倒なことを続けていたと思う。負けず嫌いが発動していたからであろう。変わる機会を与えてくれた二人には感謝の言葉をおくりたいと同時に、この脚を見せてあげられなくて残念に思う。

「本当にありがとう、ぽちゃかわなお二人さん」

(兵庫県在住PN.びびり、様)

ご応募くださった皆様方へ

今回、受賞された方々には以下の景品をプレゼントさせていただきます。

・大賞1名 – 『新果園 幸水』梨1ケース+S&S商品券 (¥10,000 梨は5,000円相当)

・副賞1名 – S&S商品券 (¥5,000) 

・特別賞1名 – S&S商品券 (¥3,000)

(商品券はオンラインストアでもご利用可能、入賞者にはDMにてご連絡差し上げます)

また、今回参加してくださった全ての応募者全員に当店特製ステッカーをもれなく差し上げます。

お名前、郵便番号、ご住所、ご連絡先を明記されていない方が複数人いらっしゃいます。info@slow-and-steady.com 宛、または当店instagramのDMまで送っていただき次第、発送させていただきます。

たくさんのご応募誠にありがとうございました!!

今回の作文企画は第4回目。僕は、実は第3回目までお客さんとして応募しているほどにこの企画のファンだったりします。皆さんの作文を読ませていただく中で僕も書きたくなってきたので最後に僕の「洋服にまつわる夏の思い出」も最後に紹介させていただこうと思います。笑

洋服にまつわる夏の思い出(スタッフ佐藤)

確か小学生高学年の頃、あっつい夏の運動場での体育はそれはそれは苦痛だった。汗でベタベタになるし、砂でドロドロになるし、何より暑い。学校指定の体操服は、シャツイン(トップスをタックイン)することが決まりになっている。当時の担当体育教師は学校1怖いと言われている先生で歯向かうものならばゼロ距離で怒鳴られる。ただしかし、ちょっとワルな方がモテると信じている男子たちはこの先生を前にいかに抗うかに知恵を働かす。我々(男子小学生)がたどり着いた答えは、シャツインを無視することだ。暑いしやってらんねぇよと言いながらトップスを出してパタパタと仰ぐ。女子たちへの腹チラサービスまでお届けしていく。授業開始10分が経った頃、先生から一旦集合の合図。パタパタ。

「お前ら早くシャツインしろ」

ひらひらとなびいていたトップスが一斉にズボンの中へ凄い雑に押し込まれる。これはおしゃれ、とかかっこいいとかという概念すらない頃の僕の思い出。

そして、これは先日の話。出勤時の服装を考えていた。今日もあっつい夏の日だ。こんな日は涼しげでかつ余裕のある格好にしたいな。そんなことを思いながら、その日はトップスにPAINTED BLANKの墨染リネンシャツ、ボトムスにPORTER CLASSICのゆったりとした白パン、足元はJUTTA NEUMANNのレザーサンダルをチョイスしました。出勤時、オーナー岡崎から珍しく「今日の格好は夏らしくて良いな」と一言。なんで良かったのか、それをしばらく考えてみた。今回一番意識したのは涼しげでかつ余裕のある格好。そのためにリネンのシャツをタックインしていた。誰に命令されるわけでもなく自分の意思で、丁寧に、裾に適度なたるみを持たせて。

これからお店には秋冬のアイテムが並び始めます。夏と冬、これからもこの企画は定期的に開催して行こうと考えておりますので、今回応募してくださった方々も、応募してない方もスタッフ一同お待ちしております!

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この記事を書いたひと
佐藤 洋平Sato Yohei |
1997年生まれ。2020年冬より SLOW&STEADY スタッフとして勤務。 人生と洋服との関係性を、日々探求する毎日。
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