先月の11月25日・26日と開催した、BONCOURA カスタムオーダー会『One-Off』
BONCOURA デザイナー森島氏が、約1ヶ月間ヨーロッパに渡り、自らの足で集めたデッドストック生地はどれも素晴らしい物ばかり。別注アイテムも早い段階で完売し、大盛況の中終えることが出来ました。
また、会期中は森島さんから、生地と出会った際の現地でのエピソードなども披露いただきながら、
来店いただいた皆さんが10年〜20年先の自分を想像して生地を選ぶ姿も新鮮で、店頭に立つ僕らもとても嬉しかったです。
ご来店含め、お問い合わせ頂いた全ての皆様、誠にありがとうございました。
「”K.O.T”でお願いします」
そんな有意義な2日間だったわけですが、そんな中で特に印象的なエピソードがありました。
いつも来てくださる常連のKさんが「オーダーしたいから2人(僕と武田)で生地決めて」 と。
洋服も車も自分の身の回りの物へのこだわりが人一倍強いKさん。
さすがに一生物だから、自分で選ばれたほうが良いのでは…?と話をしたのですが「文句言わんから決めて」の一点張り。
じゃあ分かりました、と引き受けることになった僕らは、大きなプレッシャーを感じつつも2人で相談しながらひとつの生地に決めました。
選んだのは、温かさと男っぽさを兼ね備えたKさんの普段の性格を映したような生地。
Kさん 「じゃあそれで(即答)」
僕「…ありがとうございます!ちなみに今回のオーダージャケットだけはタグ部分に3〜4文字、好きな文字を入れることが出来ますが、どうしますか?」
Kさん 「じゃあ3人の頭文字使って “K.O.T” でお願いします(即答)」
その迷いのない一言に、周りにいたお客さん皆が驚き、
と、同時にものすごく温かい気持ちにさせられました。
なんと伝えれば良いのか、上手な言葉が見つかりませんが、素直に嬉しかった。
あらためて思い返すと、自分たちの今後のモチベーション、心の支えになるようなひと言をいただいた気がしています。
このブログでも度々書いてきたことですが、物から何かを思い馳せたり、感じとることって沢山あります。
Kさんが、仕上がったジャケットの袖を通すときに、10年先でもタグのイニシャルを見たときに、僕らも一緒に笑っていられるような、何年たっても色褪せないものを伝えていきたい。改めて強くそう感じました。
最後に
お客様のためのジャケットオーダーなのに、こちらまで幸せな気持ちにさせる。
これこそ「粋」だなぁと心底思えた瞬間。もちろんなかなか出来ることではありません。
こんな素敵な方が、SLOW&STEADYのお客様としていてくれることを、心底誇りに思います。
そして、こうして支えてくださる皆様のおかげで、SLOW&STEADYは来年5周年を迎えます。
明日から始まる『SLOW&STEADY KOCHI』も含め、イベントごとが続きますが、地に足を付けて毎日を大切に今年いっぱい駆け抜けますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします!