いつもありがとうございます。スタッフ勇登です。
私事ですが、当店で働き始めてはや1年が過ぎました。働き始める前と今で明確に変わったことが1つ。それは、「洋服への向き合い方」にとくに「生地」に着目するようになったということです。もちろんお客さんの時も洋服選びの際に生地を全く考慮していないかと言えばそうではありませんし、ある程度自分が好む素材というのは理解していたつもりでした。しかし、販売員として人に伝える以上、しっかりと言語化する必要があります。
この生地はどんな生地で着用を重ねるとどうなるのか、今まで以上にしっかりと洋服を”見る”ようになりました。今回ご紹介するアイテムは、僕が大好きな生地が使用された一着です。皆様ぜひご一読ください。
VINTAGE FABRIC EDITION GERMAN BROWN DENIM JACKET(FRANK LEDER)
FRANK LEDERよりVINTAGE FABRIC EDITION GERMAN BROWN DENIM JACKETです。
FRANK LEDERが過去10年間のコレクションで使用した希少な生地を使って再構築し、世界20着限定でリリースする「VINTAGE FABRIC EDITION」ラインのアイテムです。
今回はブラウンブラックに染められたドイツ製のビンテージデニム(通称:ジャーマンデニム)が使用されたカバーオール型のジャケット。昨年、当店別注としてリリースしたFRANK LEDER×S&S GERMAN DENIM VESTの前身頃に使用された生地と同様の生地になります。
見る者を惹きつける生地、ジャーマンデニム
ドイツの古い機械で織られたであろうドイツ製のデニム。新品の状態ですと、ややハリがあり硬く、光沢のある表情。ブラウンブラックで染められていることもあり、インディゴなどで染められたデニムに比べるとどこか上品な印象を受けます。新品の状態でも、もちろんカッコよく唯一無二の良さを発揮しているのですが、この生地最大の魅力は「経年変化」にあります。
こちら、7~8年前に一度だけリリースされた同素材を使用したジャケット。当時オーナーの岡崎が毎日のように着用した物になります。どうでしょう?一見してその違いが分かると思います。洗いを重ねて良い感じに当たりが出て、クタッとなった風合い。ハリ感や独特の硬さは残しつつ、シワが付き体に馴染んだその生地は上品さの中にデニム特有の男らしさが加えられ、非常に魅力的です。
7~8年前のアイテムと今季のカバーオール、比較したら一目瞭然。着用を重ねたジャケットの方が何倍もかっこいい。デニム素材特有の経年変化に加え、この素材ならではの黒と茶色を混ぜ合わせたような色落ちがたまりません。
洋服を楽しむための粋な計らい
改めて今季のカバーオールを見てみるとこの生地を存分に楽しんでくれと言わんばかりのFRANK LEDERの粋な計らいが見えてきます。薄すぎず厚すぎずの程よい肉感かつシンプルな形のカバーオールは真夏以外の着用が可能。そしてカバーオールというアイテムの性質上、裾の部分やポケット周辺の部分は必然的に擦れ、当たりが出やすいので目に見えて変化していく様を楽しめます。
縁には耳が使用されているあたりもフランクらしさ抜群です。ボタンはアンティークのもの。変化した後のヤレ感ある生地の表情と鈍く光るこのアンティークボタンの相性なんて考えただけでゾクゾクします。
”読み解いていく”そんな洋服って素晴らしい
最近洋服を着ることがすごく楽しいんです。
疑問を持ち、自分なりに考えて解釈してみる。そしてそれがあっているのか間違っているのか、時間をかけて洋服と共に過ごすことでゆっくりと答え合わせをしていく。そうすることで、洋服が自分に応えてくれる、そんな気がしています。買ってから始まる洋服。そんな洋服が大好きです。
皆様も、時間がある時に自分の洋服を今一度「なんで?」と疑問を持ち、”読み解いて”ください。きっと今まで以上に自分のクローゼットの洋服たちが輝いて見えるはず。少なくとも当店の洋服たちは皆、買った時よりも輝きを増す洋服ばかりです。
輝ける洋服たちと共にあなたのご来店をお待ちしております。