フランクリーダーのHPにも公開されていたようにブランドの原点とも言える「実験的である」という要素を強く体現しながらアイデンティティーを詰め込んだ「FUNDAMET」というシリーズの内の一点、フランク自身の手によって、一点一点ペイントを施されており、インク染めを施したベッドリネンシャツと並んでメインアイテムと言っても過言ではない INKED DEUTSCHLEDER VEST について。
【FRANK LEDER INK DYED MOVIE】https://vimeo.com/255180825
デザイナーと繋がる感覚
日々フランクリーダーのアイテムに囲まれ、今まで以上に自分でフランクの洋服も着るようになって、今では同ブランドのファンの一人になりつつある僕。そんな中出会ったこのアイテムは、ホームページの動画を見入っていたこともあって、とても引きつけられました。自分のベストにもフランクがペイントを施してくれたことを思うと一生産者、一消費者の枠を越えて、オーダーメイドで作ってもらえたかのような特別感に包まれます。
オーダーメイドと言うと少し大げさな表現かもしれませんが、デザイナーさんの顔が見える洋服というか、フランクリーダーという個人と、何かしらのつながりを持てたような気持ちにさせてくれます。
そういった事もあってか自然とこのベストに手が伸びていました。今風に言う「クセが強い」と思われる人も多いメーカーではあると思いますが、フランクは、ルーツや個人の経験を重視する方。だからこそ作るものもドイツ由来で一つ一つの洋服にストーリーを感じて面白いです。さらには見た目に反して着ると体に馴染み普段の洋服と変わらず着用できるのもフランクリーダーの作る洋服の魅力の一つだと思います。
「知識」より「体験」を伝える重要性
また人間味のある洋服というのも特徴のひとつかなと勝手に考えております。僕自身が店頭で一番気をつけている事もその人それぞれにが持つ「人間味」に合った洋服を提案することです。
今の時代、客観的な情報はネットを開けば手に入ります。そんな世の中にいて自分がネットの情報より多くの知識をお客さん達に提供できることはまず不可能だと思っています。なので僕自身がその洋服に対して、洋服を試着したお客様に対して、どのように思うのかを素直に伝えること。また自分の実生活の中でどのように洋服を着ているのか。そういった “自身の体験や思い” を伝える。それこそ “人” しかできない事であり洋服を販売する自分がすべき大切なことだと思うようになりました。
デザイナーであるフランクリーダーと比較することもおこがましいですが、フランクリーダーも洋服のデザイナーとしてしっかりとしたキャリアを持ちながら、あくまで自身の出自であるドイツで洋服作りを行い、その地域性を掘り下げ、自分にしか作れない洋服、それに付随するストーリーを作り上げる。そして毎期のテーマ、今回ですと「BOHEMIA」に落とし込む。そんな遠回りに思えるプロセスを続けて生まれる洋服だからこそ唯一無二の存在感と魅力があるんだと思います。
最後に
個人的にはフランクリーダーはヴィンテージ同様、一点取り入れるだけで洋服の真髄の一端に触れさせてもらえるような位置付けだと思っています。ヨーロッパヴィンテージの洋服なども個人的には欲しいと思うのですが、グッドコンディションかつマイサイズの物に出会えるのは稀有な出来事 ( そこが魅力でもあるのはもちろんですが ) 。これはフランクリーダーに限らず、どのブランドにも言えることですが、ヴィンテージの知識などを持って、良質な衣服、今は出会うことの難しい生地を僕たちに届けてくれるのは本当にありがたい事。まだまだ洋服の知識も乏しい僕には、その分だけ沢山の洋服を着る事で日々勉強させてもらっています。
自分が持っているバリエーションの中でも、人と差をつけるという点ではこのベストを置いて他にはなく、一層活躍できそうな秋冬までに生地をもっと馴染ませたいという思いもあり、自分吉浦、ここしばらくの飲み会は「暑くない?」そんな周りの声を完全に無視して、このベストで臨み続ける所存です 笑。自身を成長させてくれ、外に出たいと思わせてくれる、洋服好きになって当たり前になりかけていた感情を今一度思い起こさせてくれたこのアイテム。店頭分もラスト一枚ですが興味がある方は一度試着してみてください。