金、黄金、ゴールド、こういった響きにロマンスを感じるあたり僕の感性は少年のままなのかもしれません。ですがやはり金色って特別。いつの間にか来年に控えたオリンピックなどでも一等賞には”金”と決まっています。
「逆に”金”が好きってダサくない?俺、銀の方が好きだし。」という面倒臭い思春期を経て「やっぱ金だな」というムーブメントに落ち着いたのも最近のこと。おそらく一度距離をおいたのはこの色の持つ絶対的な存在感を受け止められなかったのと、幼稚園のとき大好きだった折り紙の中に一枚だけ入っている金箔の折り紙のようなギラギラさが嫌になったのでしょう。
開始早々暴走気味な文章ですが、何が言いたいかというと「今の自分が好きな、上品な金色にはなかなか出会えない」ということです。
黄金(こがね)色と呼びたくなるこの生地に魅了されたのもそういう経験からかもしれません。
KING OF CORDUROY
それは自分が当店に4.5回ほど通い、もう店頭はすっかりと春夏物へと移行していた5月ごろのことだったと思います。その頃自分もまだ通いたてで洋服の着方などもあまり分からず、店長や常連さんの着方などはよく参考にしていました。ただその日はコーディネートうんぬんじゃなく、
「店長が尋常じゃないパンツを履いてる!」
という衝撃だけが残っております。「かっこいいを一段超えると衝撃になるんだな」とはそのとき初めて知りました。
そのパンツがポータークラシックが作るコーデュロイパンツであることを教えてもらい、その生地は王様のコーデュロイと呼ばれるブリスベンモス社の生地で、独自のシルエットはフレンチヴィンテージなどに見られるものであること等を教えてもらいます。(そういった話はこちらのBLOGで詳しく説明されています。[2016、2017])まだ半年は入荷してこないであろうタイミングでしたが「このシリーズはを絶対に買う」と決意した瞬間です。
実際にその半年後、このコーデュロイパンツが入荷したとライン@のアナウンスを見た瞬間、全力で店に走ったのを今でも鮮明に覚えています。その後、着用を重ね半年前の自分の直感は間違いなかったと再認識しました。
夏物に比べ洗濯に気を遣う素材が増える秋冬物ですが、コットン100%のコーデュロイは家庭での洗濯ができるというのも心強い点。生地の存在感により上に重厚なアウターを持ってきても、カットソー1枚でも成り立つので、3シーズンかなりの頻度で着用しています。
GOLDEN BROWN
自分が最初に衝撃を受け、手にした始めての一本ということもあって僕はこの”ゴールデンブラウン”が大好きです。
うまいなぁと思ったのは、ブラウンやライトブラウンと言った名前ではなく「ゴールデンブラウン」という部分。実際に履き込まれたコーデュロイを見ると、反論の余地もない美しい黄金(こがね)色にかわっています。冒頭で述べたような、ぎらつきとは無縁の上品な金色に。
もはや言葉での説明は野暮なんじゃないだろうか、、、と心配になるほど、実際に観てもらいたい、触れてもらいたい気持ちはあります。特にコーデュロイ特有の見る角度や動きによって表情を変える様は2次元では伝えきれないもどかしさもありますので、是非店頭でも合わせてご覧ください。
王様への挑戦状
自分のなかで「手持ちの洋服との相性が良いから欲しい服」「この洋服をうまく着られたら絶対にかっこいいから欲しい服」というのがあります。自分のクローゼットは一個のチームのような物で、どちらが良いというわけではなく2種類のバランスを考えながら買い足していっているつもりです。
当時の自分で言うとこのパンツは圧倒的に後者で、こんな存在感のあるパンツを何気なく履けてたらかっこいいだろうなという思いで購入しました。ですが他の洋服とも非常に合わせやすく、履く場面も選ばす、攻守兼ねた「エースで4番」的な存在。履けば履くほどその思いは強くなっています。
みなさんもこのコーデュロイの輝きが寝ても覚めても忘れられなくなったなら、この”王様”に挑む頃合いかもしれません。手に入れたあかつきには、目の覚めるような黄金体験があなたを待ち受けております。