S&S / INFORMATION May 18, 2019
Text:YOSHIURA KOTA
どこで作られたものであろうと良いものは良い。もちろんそうですが、このアイテムを手に取るスタッフの表情は2割り増しで浮かれ気味です。
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男というのは面倒な生き物でして、自分が本当に良いと思えるものに関しては人に自慢したい反面、自分だけが知っているという優越感も大事にしたいと思うものです。

それが自分のルーツと偶然重なってたりしたらなおさらです。

今回紹介する“しじら織り”は徳島で生まれ、伝統的な織物として現代まで受け継がれている製法。当店のスタッフ全員が心待ちにしていたアイテムながら、内心では知る人ぞ知るアイテムとしてこっそり楽しみたい気持ちも、0.5割くらい残っていますが、そこはスタッフとして全国のみなさんにも知っていただきたいという気持ちで今回のブログを書かせていただきます。

しじら織りとは

しじら織りとは生地を織る際の縦糸と横糸の収縮率の差を利用して、生地に凹凸をつくる織り方です。発祥は江戸時代の末期に徳島安宅(あたけ)村の「海部ハナ」という人物が考案した物とされています。雨で濡れた織物が縮んでいた様子を見て、制作をはじめ、試行錯誤の末に生地を生み出したとされています。

この凹凸があることによって生地と肌との間に空間が生まれ、夏にも風通しが良く、肌に張り付かないという効果が生まれます。そのため夏場の着物や甚平によく使われてきた歴史があります。(同じ原理を利用したシアサッカー生地も夏の洋服の生地として知られています。)

ポータークラシック “ロールアップシャツ”

ロールアップシャツはポータークラシック夏の定番アイテム。自分も夏場はかなりの頻度でお世話になっています。

シャツの形状も身幅をたっぷりととった、夏場にもストレスなく着られるシルエット。オーダーサイズながら大人っぽく見えるバランスの良さも相まってついつい手が伸びてしまうポータークラシックの定番であり、当店でも毎年人気のアイテムです。

ただでさえ大好きなシャツに、地元徳島が誇るしじら織りを使われたらもう…スタッフ全員使命感にも似た気持ちで着用しています笑。

ショートパンツとの相性もいいので、夏場のドライブ、レジャー、等々幅広いシーンで活躍する一枚。真夏にはこれを着て、夏祭りや阿波踊りに出かけるのも粋ではないでしょうか。

生地が浴衣なんかの雰囲気に近いからでしょうか。個人的には「コレを着て温泉に行きたい」なんて妄想をしております。


徳島育ちだからこその想い

このブログでご紹介する洋服の歴史背景は、遠い異国の出来事の方が多く、様々な国で暑さをしのぐための工夫が凝らされ、色々な方法で作られています。

余談にはなりますが、しじら織りが生まれた安宅村は現在も安宅という地名で存在しており。当店のある昭和町から住吉野川を挟んでほぼ対岸に位置します。今回紹介するものがこんなにも身近な場所で生まれたというのは徳島生まれ徳島育ちの自分としては胸にくるものがあります。

ポータークラシックは「刺し子」や「絣(カスリ)」など日本伝統の生地を再構築することも多いですが、そいういった生地は総じて温かみを感じることが多いです。涼しいのに温かいって変な表現ですが自分たちに刷り込まれたDNAからなのか、そういった生地は体は涼しく、心は温かくといった印象です。

5月からは令話元年という節目の年。そんなメモリアルな今夏は徳島で紡がれた “粋” を思う存分に楽しんでみてはいかがでしょう?

この記事を書いたひと
吉浦 康太YOSHIURA KOTA | sas_yoshiura
1995年生まれ。2017年春より「SLOW&STEADY」で勤務をスタート。靴磨きが大好き。
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