今回は、本日入荷した新しく取り扱いを始めるフランスのワークウェアーメーカー「VETRA」についてブランドのことや代表モデルであるカバーオールをピックアップして紹介します。
現在もフランスのサルト(パリから200km西)の自社工場で、職人の手によって作られるVETRA。最大の特徴は伝統的なフレンチワークウエアを継承する丁寧なモノづくりである。シンプルで上品なデザインは、ビジネスでもカジュアルでも似合う汎用性を醸し出しシルエット、着心地の良さからワークーン以外での愛用者も多い。その歴史は約100年前に遡る。1927年にEdouard Beerens氏によってパリ・サンルイ島の(3 rue de Bretonvilliers)で設立された。ブランド名はフランス語で“作業着”を意味する”VEtements de TRAvail”の略語から来ている。主な支給先は警察官や消防士などで、リアルワーカー達が着る制服を作っていた。VETRAは現在もBeerensファミリーによって所有および運営されており、絶えず変化するトレンドに対し、時代を超えた最高品質の伝統的デザインの製品を製造し続けている。
VETRAホームページより
実はこのブランド、随分前から存在は知っていました。一時期、現代のトレンドに合わせたスタイルを提案していたことや大手の大型量販店でも取り扱っていた経緯も含め、正直、方向性やテイストが変わったと感じていました。
2年ほど前、大阪からふらっと4人組のいかにも業界人といった空気感をまとった男性が来店してくださいました。「きっと営業だろう」と思ったのですが、いつまで経っても営業トークにならず皆さんがお買い物を楽しんでくれた。
お会計が終わった頃、我慢できず私の方から「どこかのメーカーさんでは?」と聞きました。結論的には全国に店舗を構える有名なアパレル会社の社長と従業員さんだった。
その日、社長さんはあまり仕事のことは語らず帰っていった。
それから1年ほどして、VETRAの日本代理店としてセールス担当の人が営業に来ました。社長から、「徳島に良い店があったから営業に行きなさい」と伝えられたそうです。それが1年前に来店してくれた社長の会社だとすぐ理解できました。私が抱くVETRAのイメージをありのまま伝えると「その通りです」と担当者も苦い顔をしながら納得していました。
リリースされるアイテムが現代風になり、ブランドの良さが損なわれつつあることをフランスのメーカーサイドも含めて危惧していたそうで、フランス本国のVETRAチームと徹底的にリブランディングを行い、当時の伝統や技術、空気感をふんだんに周到した本来のVETRAのカタチに戻したのが2023年の春夏からだということです。
そこで、生まれ変わったVETRAの商品を見て欲しいということだった。
合計10アイテムぐらいだろうか。全てその場で見させてもらった。確かに私が抱いていたイメージとは正反対。真っ向からのクラシカルな作業着だった。もちろん、細かいサイズ感などはある程度トレンドを意識しているかもしれないがそれを感じさせないほど硬派な洋服たち…
どのアイテムも、普遍的なデザインかつどことなくエスプリの効いた上質なフレンチワークウェアーそのものでした。中でも定番のカバーオールは今ではどこにでもあるスタイルだからこそ、100年の経験と技術や貫禄を感じました。
リブランディングされ復活を果たした、VETRA2023春夏シーズンはフランスでの生産数も限られているため、四国では唯一、当店が正規取り扱い店となります。
「取扱店は極力増やさず少数精鋭で育てていきたい」
担当者の言葉に嘘はないのはわかります。業界では有名な社長が楽しそうに洋服を選んでいたあの顔が全てを物語っている気がしました。きっと私同様、洋服が心から大好きなんでしょう。
洋服というのは過去から現代において脈々と繋がっている。それをお客様に体験してもらうことは非常に大切なことだと考えています。先日入荷したビンテージアイテムと合わせて、過去と現代をつなぎ古き良きフレンチワークの空気感を新品の状態で味わえる洋服がこのVETRAなのかもしれない。