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技術が素晴らしいだけでは認められない、先住民として正当な血統かどうかが重んじられるという、歴史を越えて光輝くネイティブアメリカンジュエリーをご紹介いたします。
BY OKAZAKI MASAHIRO 3,446
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年に1〜2回入荷し、その度に大変ご好評いただく『Native American Jewelry(ネイティブアメリカンジュエリー)』当店が扱うジュエリーに関しては、本場アメリカのアーティストや関係者からも絶大な信頼をよせる、東京恵比寿にある「GOD TRADING」からすべて買い付けております。そんな「GOD TRADING」代表の今井氏より、買い付けの度に色々と教わるのですが、『Native American Jewelry』も洋服同様、歴史背景と文化形成が密接に絡まった非常に奥深い世界。今回はこの『Native American Jewelry』について、また当店が買い付けているアーティストについて書いてみようと思います。

“Native American Jewelry” の歴史背景について

78447001-1-2 ※写真は1900年代初頭の「トレーディングポスト」

16世紀末、後のアメリカ合衆国に、南米から北に進行してきたスペイン軍が持ち込んだ鉄や銀細工、そして加工技術を、その土地の先住民(ナバホ族)が巧みに取り入れたことから始まります。

時は流れ18世紀、先住民たちはアメリカ軍によって攻撃され住む場所の制限を余儀なくされ、その保留地(割り当てられた土地)の中で、彼らは独自の文化を形成していきました。特に、ナバホ族によって他の部族に伝えられた銀細工の加工技術は、部族ごとにはっきりとした特色を生むものとなります。

そして「トレーディングポスト」と呼ばれる白人経営の交換所で、自分たちの作った銀細工(ジュエリー)を食料・日用品と交換しはじめたのが19世紀後半。 この時、できるだけ良いものと交換してもらうため、先住民たちはそれぞれにジュエリーの技を磨いていきました。 これが『Native American Jewelry』がアクセサリーとして今の立ち位置になるきっかけ、ファーストフェーズ(1880年〜1900年)だと言われています。

そして先住民たちの住む保留地に、旅客用の列車が通ることで観光ブームが巻き起こり、観光客への土産物としての需要が高まったことで、『Native American Jewelry』は変容を見せ始めます。白人トレーダーが自ら銀やターコイズを彼らに渡しデザインを注文、各地のトレーディングポストに卸すなど、それまで生活のために作られていたジュエリーが「アート作品」として価値が付くようになったのです。これがセカンドフェーズ(〜1920年頃)と呼ばれる時代です。

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それ以降、各々が個性や技術を磨くことで、アーティストごとの評価が生まれ、作品のクオリティーや希少性などで価値が決まるようになっていきます。 そういう経緯から、『Native American Jewelry』は今や国を超えて愛されるアート作品として、広く認知されるようになったのです。

その他の芸術作品と一線を画すのは、「先住民として正当な血統であるかどうか」という点が厳密に重んじられるということ。先祖から受け継いだ道具で、同じく先祖から受け継がれた技術を磨く、というのが暗黙のルール。それはどれだけ技術が素晴らしくても、それだけでは認められない、『Native American Jewelry』と呼ばれる最大の所以です。

今ではアクセサリーとして確固たる地位を確立していますが、先に述べたような誕生の背景をさかのぼれば、支配下に置かれた先住民たちの悲しい歴史と向き合うことになります。
ただ、それらがなければ今の『Native American Jewelry』は生まれてなかっただろうと考えると、複雑な想いと共に、軽はずみな気持ちで扱うことだけはやめようと思わせてくれたりもします。 そして正真正銘の『Native American Jewelry』を取り扱っている以上、せめて当店でお買い求めいただいた方には、僕が出来る範囲で背景も含めしっかりと伝えていきたいと思っています。

では、ここからは現在SLOW&STEADYで取扱っているアーティストのご紹介を。

“EdisonSandySmith(エディソンサンディースミス)”

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純血なナバホ族の両親の元に生まれ、今現在も電気も下水道設備もない見渡す限りの広大な大地でナバホの木造八角形の伝統家屋(ホーガン)に一人で住みナバホの伝統的スタイルのジュエリーの制作を行なっている。ジュエリー制作の全行程を一人で行なっている為、彼の作り出すジュエリーは本場アメリカにおいても100年前のナバホジュエリーと形容され称賛されている。本場のジュエリーショーやフェスティバルにも一切姿を表さない事からアメリカでもその存在は謎に包まれていますが、現代の伝統的ナバホアーティストの代表といえる一人です。年間の生産数も少なく非常に希少性が高いアーティストです。

“Waddie Crazey Horse(ワディークレイジーホース)” 祖父:ジョー・クインターナ/父:シピークレイジーホース

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コチティプエブロ族のトップアーティストの祖父や父を持ち、トラディッショナルスタイルを守りながらも伝統や工具を受け継ぎ、インディアンジュエリー界のサラブレッドとして注目を集め、今後の活躍が期待される若手アーティスト。ヘビーゲージのナジャは重厚で荒々しさと繊細さを兼ね備えています。余談ですが、ワディーがシルバースミスとして活動するかどうか悩んでいた時期、ゴッドトレーディングの今井さんが「偉大な父の道具を引き継げる世界で唯一の選ばれた人なんだよ」と説得したそうです。昨年は親子で来日しイベントを行うなど、日本でもかなり注目されているアーティストです。

“Norbert Peshlakai(ノーバートペシュラカイ)” 父:フレッドペシュラカイ

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ナバホ族の重鎮アーティストの一人。稀代のアーティストと称されるフレッドペシュラカイを父に持つ。「ペシュラカイ」という名前がシルバースミスという意味を持つことからも、”Native American Jewelry”の世界において重要人物の一人。伝統を受け継ぎながらも比較的コンテンポラリーで新しい作風を生み出し続けています。

“Ray Adakai(レイアダカイ)” 父:ジャックアダカイ

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1965年生まれ。ジュエリーアーティストとして有名である父、「Jack Adakai」からシルバーワークを学びました。ハンマーワークを得意とし、彼の作品の特徴である両面にスタンプワークを施す『ダブルスタンプ』はとても有名です。当店でも継続して展開しているアーティスト。クオリティーが高く、比本格派アーティストでありながら、年間の製作本数も多い為、比較的買いやすいのも魅力的です。

購入後のメンテナンスや磨き方について

最後に、購入後のメンテナンスや磨き方についてですが、シルバーは使用したまま磨かず放置しておくと黒ずんできます。 『Native American Jewelry』は特に心の込もったお守りのようなものです。ですので、定期的にしっかり磨いて汚れを落としてあげてください。(光っているのは苦手・・・という方もいらっしゃるかもしれませんが、『Native American Jewelry』の歴史やルーツを考えれば、真っ黒のまま付けるような物ではないと当店では考えています)

汚れがひどい時には、専用クロスか、女性が使う除光液、または除菌用のアルコールを布に少量含ませて拭いてあげると綺麗になります。 ※研磨剤の含まれているものは繊細なスタンプワークや凹凸を潰してしまうので使わないようにして下さい。

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アメリカでは定年退職後に購入されるなど、どちらかというと年配の方が持つことの多いものだそうです。また逆に、自分の持っていたものを、大きくなった自分の子供へと託したりもされるそうです。それは感覚的に例えるなら、日本人にとっての「お守り」のようなものなのかもしれません。

ある人は、何かを成し遂げた自分へのご褒美に。そしてある人は、これから何かを成し遂げるために。
年を重ねて身につけるアクセサリーこそ、普遍的であり価値の下がらない物をぜひ身につけていただきたい。
手にした人それぞれがそれぞれの想いを込めて、大事に付き合っていってほしいと思います。

岡崎
この記事を書いたひと
岡崎 昌弘OKAZAKI MASAHIRO | mshrokzk
1981年生まれ SLOW&STEADY 代表。18歳の時より地元の古着屋へ勤務。その後同じく県内のセレクトショップ勤務を経て2013年「SLOW&STEADY」をオープンさせる。
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