S&S / BLOG Dec 24, 2017
Text:OKAZAKI MASAHIRO
Photo:Kenta Kannae
洋服は生き物とよく言いますが、毎日の積み重ねで数年後の成長が変わるのは、まさに生きてる証拠だと思います。
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年末の大掃除がてらクローゼットからアウターやニットを引っ張り出して、衣類の虫食いでびっくりしたと言う経験はないでしょうか。 今回はそんな洋服の「虫食い」を防ぐために、普段から心がけるべき洋服のメンテナンス方法についてご紹介いたします。

虫食いの原因とその対処法

そもそも冬物のニットなどでよく起こる「虫食い」はなぜ起こるのか?
原因は衣類害虫と言われる虫。とにかく洋服の繊維が大好きで、どこにでも生息しているので知らぬうちに外から家の中に侵入します。

暗くて暖かく適度に湿度も高い場所を好むので、彼らからしたら洋服ダンスは極楽と言っても良いほどに恰好の住処。 最近では住居の密閉率も高いので、昔以上に住みやすくなってきているのかもしれません。

けれどそんなどうしようもないと思いがちな 虫食い も、普段の少しの気遣いで被害を大きく食い止めることができます。 大雑把な性格の僕が10年以上、全くと言って良いほど虫食いにあっていないのに、綺麗好きで几帳面な人が虫食い被害にあっているのはなぜか。 そこには、衣類をしまう時などについついやってしまいがちなミスに原因があります。

虫食い対処法その1「汚れをはらってから洋服をしまう」

そのひとつ目のミスが「外から帰ってきて脱いだ服をそのままクローゼットへ入れてしまうこと
皆さん着用後の洋服ってどうしてますか?外から帰ってきてすぐにクローゼットに閉まっていませんか? 下着やインナーはすぐに洗濯機へ入れても、アウターなどはついハンガーにかけてしまいがちだと思います。

着用後の洋服は見えない汚れや埃がついたままの状態。そんな洋服を直ぐにクローゼットに入れてしまうのは絶対にNG! 特にヘビーアウターなどだとシーズンが終わるまで洗濯せずに着用する方も多いと思います。ですが重要なのは洗濯やその頻度ではなく、 表面についた汚れや埃をきちんとはらってから、クローゼットにしまうということです。

ちなみに革靴なども履いたその後はせめて半日、風通しの良い場所に置いて十分に乾燥させ、埃を落としてから靴棚などにしまうことが肝心です。

虫食い対処法その2「虫の住みにくい空間づくりを心がける」

さらに冬場、例えば「ニットはこのタンスの何段目」といった具合に、意外と服を決まった場所にしまっていませんか?一度でも 虫食い にあった経験があるならば、その場所にはもう虫が居着いている可能性が十分にあります。そんな場所にまた今年も同じく洋服を保管するのは食べてくださいと言っているようなもの。まずはできる限り虫がいない空間づくりから始めましょう。

手順としてはまず中の洋服をすべて外に出して、隅々まで掃除機をかけます。その後、しばらくタンスを開けて庫内を乾燥させればひとまず大丈夫ですが、 普段から洋服をしまうスペースはできるだけ乾燥させておく、というのも重要です。
例えば着ていない洋服をずっとしまっているのもあまりよくありません。特にニットなどは定期的に広げて風を当ててあげたり、それらが面倒であれば定期的にタンスの扉を開けたままにしておくだけでもそこそこ効果はあります。

クローゼットも同じです。直ぐに閉めてしまうのではなく、天気の良い日などはたまに開けたままにしておくことも効果的。 (ただ直接日光が当たる場所にある場合はあまり開けっ放しにしすぎると、今度は色あせの原因になりますので、その場合は中の洋服を定期的に入れ替えるなどしてあげて下さい)

虫食い対処法その3「洋服が呼吸できる程度の隙間を作る」

ここまでで感の鋭い人ならもうお気づきかもしれませんが、そう。洋服をかける間隔も大切です。 もしクローゼットに余裕があるなら拳一個分(風が通り抜けられるぐらい)開けておくと常に洋服が呼吸できるので生地感も健康に保てます。

タンスなども同様に、中身を詰め込みすぎないことが肝心です。
あまりに詰め込みすぎると中の空気が循環しないので虫食いが起こりやすい環境を作ってしまいます。

以上をまとめると、虫食いを防ぐためには大切なことは、洋服はできるだけ空気の流れのいい場所に、すぐに仕舞わずに埃をとってからしまう。それだけです。 もっと言えば、しまう前に一旦陰干しをするとなおベスト。干すと言っても風通しの良い場所にしばらくかけておくだけで随分と違います。

洋服ブラシについて

ではどうやって汚れや埃をとるのが一番良いのか。
ここは是非 洋服ブラシ を使って頂きたいと思います。

洋服好きなら必需品のこの洋服ブラシですが、恐らく持っている方のほうが少ないのではないでしょうか。 確かに表面の埃程度なら「コロコロ」でも取れるかもしれませんが、ブラシとコロコロで、実は決定的な違いがあります。

やはり 洋服ブラシ はそれに特化して作られているため、目に見えない繊維の奥の埃を取ることができます。そして何より、ブラシをかけることで洋服の繊維内に空気が入って循環し、生地感が健康に保たれるという効果が得られます。これが洋服にとっては非常に重要でありコロコロでは補えない部分です。
気に入った洋服であればなおさら、長くずっと着たいと思うのは当たり前ですよね。普段のちょっとした手入れが、その洋服の寿命を左右します。 であれば、質の高い洋服ブラシを1本は持っていても決して損はありません。

ブラッシングで注意すべき点

ブラッシングで注意すべきなのは、繊維と逆方向にブラッシングしたあとは必ず繊維方向にブラッシングして毛を寝かせてあげること。 繊維を立たせたままだと、口でいえば開いている状態と同じです。せっかく埃を落としても結局、汚れがたまりやすい状態になってしまうので、必ず生地の方向にブラシを当てて毛の方向を整え、生地に蓋をしてあげてください。

ちなみに、太畝のコーデュロイなんかは畝の隙間に埃がたまりやすいので、着用後はブラシを下から上(繊維と逆向き)にブラッシングし、汚れをとってあげてください。 また、ニット類なども同様に、定期的にブラシをかけてあげると生地の寿命を永く保つことができます。
※洋服ブラシ自体も、定期的に水でしっかりと汚れを落として、乾かしてあげることで繰り返し永く使えます。

最後に

洋服にとっての一番の栄養は自然の風に当てることブラッシング。それさえしっかりしていれば風合いも保たれ、虫食いも防ぐことができます。 そして、最後に覚えておいて欲しいのは、洗濯で汚れを落とすことと、洋服の生地感を健康的に保つことは全く別モノだということ。

過度な洗濯は、確実に洋服の生地や風合いを痛めます。シミがついた場合や どうしようもない汚れを落とすのは、やはり洗濯やクリーニングですが、まずは日常の簡単な気遣いこそ、洋服にとっては重要なんです。

そう言えば、決して安くはない洋服を年に一度、数年に一度クリーニングに出したくても、どこに出せば良いのか悩む方もいらっしゃいます。 過去に数件、クリーニング屋さんとお客さんとのトラブルを耳にすることもありました。

そういったこともあり、当店では裾上げなどのお直し同様に、クリーニングも東京にある専門店と契約しております。 お気に入りの洋服のクリーニングは当店に持ち込んでいただいて構いません。契約先のお店は洋服のケア専門なので、通常のクリーニングより数千円ほど高くはなってしまいますが、その数千円を惜しんで結局数万円、数十万円の洋服が台無しになることほど馬鹿らしいことはないと個人的には考えています。

ジャケット等の裏地が付いている物は、裏地のさらに裏側まではブラッシングでもどうにもなりませんから、数年に一度は生地や洋服の状態に応じて安心して任せられる業者の方に細部まで滅菌してもらう必要があります。シーズンが来るまで開けずに保管出来るよう乾燥材などもパッケージされて帰ってきますからとても安心ですよ。

ニットやアウターなどの冬物、特に天然素材であればなおさら、健康的な経年変化を永く楽しみたいですよね。
外から帰って服を脱ぎ、ほんの数分。自分の体を暖かく守ってくれた相棒にご褒美をあげる。それもまた洋服好きの嗜みのひとつではないでしょうか。

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岡崎
この記事を書いたひと
岡崎 昌弘OKAZAKI MASAHIRO | mshrokzk
1981年生まれ SLOW&STEADY 代表。18歳の時より地元の古着屋へ勤務。その後同じく県内のセレクトショップ勤務を経て2013年「SLOW&STEADY」をオープンさせる。
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