このシャツとの出会いについては過去にも書いたので省略するが、当店にはなくてはならないと言い切れるほどもはや説明不要となった定番アイテム、FRANK LEDERベッドリネンシャツについて改めてその魅力について書いてみる。
首元に縫い付けられた専用のタグにも記載されているが、1960年代に作られたベッドシーツに使われていたコットン素材を使用しているのだが、驚くほどのハリとコシの強い素材である。
襟付きやスタンドカラーなど数種類が毎シーズン定番的にリリースされているのだが、私の店では基本的にオールドスタイルのスタンドカラーと呼ばれる襟なしのモデルをメインでオーダーしている。着用を繰り返した経年変化が素晴らしく着れば着るほど柔らかく馴染み、パリッとした質感から独自の表情に変化する。まさに時間を味方にできる一枚である。
当店がスタンドカラータイプを選ぶ理由
「なぜこの形が好きなのか?」それについては完全に好みだというのが正解なのだが、一応、理由を説明する。まずはスタンドカラーシャツの歴史について書いてみたいと思う。
スタンドカラーシャツの由来には諸説ある。起源は1300年ごろでフランスのノルマンディ地方の貴族が防寒と衣服の補強のために発明した襟の形が元だと言われていたり、アジアの遊牧・騎馬民族のシャツが清朝中国の官僚たち(マンダリン)が着ていたことから世界に広まった説などがある。
これは完全に個人的な見解だが、18世紀中盤から19世紀のヨーロッパの貴族やハイクラスの人たちはデタッチャブルカラーと言われる襟部分だけ取り外しできるシャツを好んで着ていた。襟だけを取り外しプレスの効いた真っ白の襟に付け替えることは、紳士の嗜みだったのだろう。
その後、貴族たちが着ていたボディー部分の中古品などを襟なしで着用をする庶民の人たちが徐々に増えてきたのがスタンドカラーシャツが広がるきっかけになったのではないかと考えている。日本でスタンドカラーシャツがファッションアイテムとして人気になったのは1980年代。イッセイミヤケがコレクションで発表したことがきっかけと言われている。
これはあくまで私の自己満足の範疇でしかないが、襟のついていないスタンドカラーを当時の庶民たちが広めたという物語こそ、私たちがこのシャツをリピートし続ける理由である。モールスキンやコーデュロイといったヨーロッパのワークウェアーを代表する素材然り、元々は庶民(労働者)のために作られた生地。そんなヨーロッパ由来の洋服たちとの相性を考えればこのオールドスタイルのスタンドカラーシャツが一番しっくりくるような気がする。
一般的な意見としては、肩肘を張らずどんなスタイルにも寄り添ってくれる汎用性の高さがスタンドカラーの最大の魅力です。
安心感のある1着を
クローゼットにあると、なぜか安心するモノって人それぞれあると思う。私にとってこのシャツはそれに当たる。自分が気合を入れたいとき、旅行に行くとき、デートなどなど、ここぞという場面でなぜか手に取ってしまう。
一枚で主役を主役を務めることが可能なシャツが欲しいならこの機会にぜひ。
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