FRANKのカーディガンってこの時期、何かと頼ってしまいます。
今の時期って春夏物のピークも過ぎ、暑い日が続いて、日々のコーディネートも単調になりがち。
そんな中でもインナーとの組み合わせを考えるのが楽しかったり、どこか迫力ある生地で軽装になる夏の服装に自分好みの重みを与えてくれるのが好きなんだと思います。
カーディガンをお持ちでない方、このアイテムは一見の価値はあるはず。
生地について
2019春夏のブランドテーマは「SCHEUCHE」(ショイヘ:カカシ) 。ドイツの農村において放浪者がボロボロになった衣服をかかしにかかっている物と交換するという風習からインスピレーションをうけてつくられたこのシリーズ。
この生地も濃紺の状態では気付きにくいですが、着用や洗濯を重ねるほど、複雑な生地のパッチワークが浮かび上がってきます。
もともとデザインとしてでなく生地の補強の意味で行われていたパッチワークはドイツに限らず、日本の古布にも見られる文化。インディゴ染めの生地と相まってどこか懐かしい雰囲気を感じさせます。
柔らかいコットン素材は、半袖Tシャツの上から着ていただいて肌触り良く、家庭での洗濯もできるのでほぼオールシーズン着用出来る一枚です。
手作業による染め
太陽光にかざしてもらったり、じっくりと生地を見ていただくと、新品である今の状態でも少し色むらがあるのがわかると思います。自身のスタジオにて染めを行っているのがこのファブリックの特徴の一つです。
以前当店のインタビューにてfrank lederの日本代理店であるMACH55のディレクターである長谷川氏にフランクリーダーの人物像について訪ねた際の返答がこちらです。
簡単にいうとまだ38、9歳で、とにかく頭が良い。
洋服デザイナーっていうよりも学者に近い感じかな。
独自のスタンスを持ってるのは事実。周りのことなんか気にしてないからね。
売れそうだからこれ作ろうなんて全く思ってない。
ほんとマイペースだよ(笑)。
この学者に近いという一言。このインタビューが掲載された当時の自分にはあまりピンときていなかった気がしますが、この1年で自分のクローゼットにもフランクリーダーの洋服が増え、お客さんに紹介することを通しながらほんの少し以前よりは学者というフレーズに納得できるようになってきました。
FRANK LEDERのコレクションに手作業のものやフランク本人が完成させる物が多いのもそういったデザイナーの性格や信条がにじみ出ている気がします。
僕はリジットデニムを買ったときなんかは、洗面所で手洗いして糊落としをしました。色落ちを気にしてというよりかは、「洗うことでどう生地が変わるんだろう」「糊ってどういう風に落ちるんだろう」とまずは自分の手で触れながら知ってみたかったという感じです。
そんな感じで商品に触れる度にどうなっていくのか、どう育つのか未知数な魅力。説明書がない洋服というのか..フランクリーダーの洋服ってそんな印象を受けるのは僕だけではないはずです。
考えることをやめないデザイナー
自分がこの店で働き出してから二年ほどたちます。最初の一年は毎日教えてもらうことの連続でしたが、2年目になってくると「去年はこういう風にしてたな」と良くも悪くも自分の経験も増えています。でもまだまだ若輩者の自分、去年と今年の動きが一緒で良いはずもないし、洋服と一緒で去年と全く同じ物を見せられてもお客さんは楽しくないはず。なにかしら新しい物や取り組みをしていきたいのですが、新しいことを生み出し続けるのって簡単なことではありません。
そういうことができる人っていつも考えることをやめてないし、別の話をしていても何か拾える物はないかと目を光らせている。業種を限らずお客さん達を見ていてもそう感じます。
僕らスタッフを含め、お客さん、服を見る人を楽しませることを考え続けて生み出されるFRANK LEDERのアイテム達。よく使っているヴィンテージのファブリックなども運が良いから見つけられたってことはないと思います。いつもアンテナの感度をビンビンにして、洋服に落とし込める物はないかを考え続けて、ちっちゃいチャンスをつかみ続けた結果が、今このブランドに対する信頼につながっているのだと思います。