S&S / INFORMATION Sep 29, 2019
Text:YOSHIURA KOTA
気温もちょうどよく、改めて洋服が楽しい今日この頃。 昨年のイベントラッシュを通して、少し洋服への考えが変わりました。 商品紹介とは違う個人的な意見ですが、少しだけお付き合いいただけますと幸いです。
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スタッフの吉浦です。

10月から増税ということで、洋服を愛する皆様は気が気でないのではないでしょうか。

国単位で決まったことに、このブログでとやかく言っても仕方がないと思いますがこのタイミングで僕自身も、改めて洋服の価値ということを考えてみようと思います。

素材に対する対価

洋服が物であることから、まず思いつくのは「材料費」。糸を紡ぎだすための原材料。綿やウール、麻など。色を出すための染料、革製品であれば動物の皮。

どんな良質な素材も手を加えることがなければ、服として生まれ変わることはできません。その素材を糸にし、生地に変え、さらに作り手の思いを反映させるための加工を施す。生地の目を整える加工や染色の方法も細かくいえば何十種類とあり、細かく値段設定が変わってくるそうです。

昨年のブログにも書いたように自分が洋服を選ぶ際の決め手となりやすいのが、「真似のできないもの」というキーワード。当店で扱う洋服の中には、そのブランドでしか作っていないような生地や、同じ種類の生地の中でも格別時間をかけて織られる生地が多いです。

やはりそういう生地は手に取った時の高揚感や、履き込んでいった後の満足度というのは格別なものがあります。と、ここまでは自分が客だった頃から変わらない好きな洋服のポイントです。

人間のフィルターを通して

物の価格というのは原材料やかけた手間暇、生産数の多い少ないにより大きく変動します。今後は自分も改めてそういう目に見えない部分もしっかりとお客様に伝えられるよう、日々勉強していこうと思っています。

ここまで商品の値段について書きましたが「価格では測れない部分」って絶対にあると思います。というのもモノを売る立場になって良いものを並べているだけでは絶対に手に取ってくれないということは痛感しています。提供する側が、作り手の意思を解釈し熱意を持って伝えてこそ。

自分はまだ店の存在を知らない時代の話ですが、当店をオープンしてから1年くらいは、ブランドのことを知っている人も少なく、値段に驚いてすぐ帰ってしまうお客様たちが多くて、心が折れないように必死だったって聞いてます。さらには、必ず共感してくれる人はいる。諦めなくてよかったって…。

こういったブログやホームページもそうであるように伝え方次第で好きになってくれる人もいれば、逆に嫌いになってしまう可能性もある。『伝えかた』というのは僕が服屋である以上、真摯に考え続けなければいけない大切な部分だと思っています。

価格=価値ではない。ただ、安いもの高いものにはしっかりと理由がある。それは当店が今までずっと伝えてきたことです。

安いものって「価格を抑えるためにどうすればいいか?」っていうのを突き詰めて生まれるもの。「良いものを作るにはどうすればいいか?」って考えて生まれるものとは価格も違って当たり前です。僕は趣味の買い物をするときは投票することと似てると考えています。自分が支払ったお金は作った人が今後の作品を生み出す資本。そういう風に考えると僕は必然と自分が続いて欲しいと思う「真似のできないもの」を買ってしまいます。

そんな中思い出すのは幾度となくブログでも取り上げてきた「メーカーも、小売店も、お客さんも一つのチーム」というMACH55長谷川さんの言葉。

日々の環境は違っても、同じブランドや洋服、考え方が好きで、その好きという気持ちを信じて繋がった一つのチーム。製作する職人さん、アイテムの魅力を伝える人、そこに共感して着用してくれる人、どれが欠けても良いモノを提供し続けることは出来ません。

さっきの投票の話ではありませんが、僕たちが魅力を伝えることを怠けてしまえば、職人さんたちがより苦しい産業になってしまう。そう。僕たちが魅力を伝え続けることが、職人さんが良いものを作り続けらることにも繋がっていくと信じています。

だから僕は、価格の高い安いで「これを買ったほうがいい」などとはいいたくありません。どんなモノも何人もの人が関わって作られています。増税のタイミングで自分の買うものを吟味される方が多いかもしれません。そういった時期だからこそ、これから先、世に残って欲しいモノを考えて買い物をして欲しいと思います。

下半期はみなさんが驚く企画や商材を用意しております。きっとあっという間なんだろうな…笑

そんなわけで、増税なんて気にならないほどパワーを増して今後もslow&steadyらしく「ゆっくり着実に」「小さく濃く」を貫いていきますのでみなさまよろしくお願い致します。

この記事を書いたひと
吉浦 康太YOSHIURA KOTA | sas_yoshiura
1995年生まれ。2017年春より「SLOW&STEADY」で勤務をスタート。靴磨きが大好き。
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