今回はフランス庶民の普段着ともいわれているビンテージのグランパシャツをご紹介します。入荷後のラックに並べられた1つ1つの個性際立つシャツを見た時は圧巻です。どの柄も魅力的でどれがいいかと思考する時間が楽しく、ついつい閉店後時間を忘れてオーナーやスタッフと洋服談義を交わしました。そんな魅力あふれるグランパシャツを自分の思いを乗せ、詳しくご紹介いたしますのでぜひお読みください!
【1950s Grandpa Shirt】
今回ご紹介するグランパシャツ。「グランパ」とは「Grandpa(グランドパパ=おじいちゃん)」の略称であり、「グランパシャツ」とはその名の通り、「おじいちゃんが着ているような古めかしいシャツ」という意味合いを持つのだそうです。ただし、それはあくまで名前の由来であり、現代においてグランパシャツは、カジュアルながらも上品さがあり、様々なスタイルに合わせやすい洋服として定着しています。
また、「おじいちゃんが着ているような…」と前述しましたが、実際にはもっぱらヨーロッパの庶民の間で幅広く着られていたシャツですので、「ファーマーシャツ」とも呼ばれるそうです。
僕も入荷直後、一着手に取り試着してみましたが、すっと馴染んでくれてどこか昔から着ていたような懐かしい印象を持ちました。
シルエットについて
シルエットの随所にも庶民の間で着られていたという歴史が垣間見られます。まず、特徴的なのが着丈の長さ。これは19世紀、パンツやTシャツなど今のようなアンダーウェアがなかった時代にシャツをタックインし、現代のパンツの代わりの役目があった名残だそうです。こういった長い着丈のシャツはタックインしても一枚でザックリ着ていただいても様になるので非常に使いやすいです。
続いて身幅ですが、身幅も広くゆったりとした着心地となっており、快適さやリラックス感があります。これも元々フランス庶民の作業着として着られていたため、動きやすさを重視したつくりの名残でしょう。
このように全体的に大きめのシルエットが目立つグランパシャツですが、昨今のオーバーサイズブームと相まって、男女ともに人気が高まっています。個人的にも非常に着やすく、コーディネートも楽なので年齢や性別を問わず幅広い人に手に取っていただきたいアイテムです。
直し、着続けていく洋服
こういった古い洋服は当然、被れていたり、ほつれていたりしているものがあります。しかし、それこそが古い洋服の醍醐味だと僕は思っています。ダメージがひどい洋服でもお店にストックされた生地を使用し、修繕して店頭に並べられています。
中には、当時着用していた人が直したであろう物もあります。こういった手が加えられていることで、それらが洋服たちの個性となり、より一層深みを増す…そんな風に僕は思うんです。
手元に残り続ける洋服…
「5年、10年と着続けられる洋服を…」僕が当店に通い始めた時からずっと思っていること。その最たるものがビンテージアイテムであり、こういったシャツなんだと思います。国も年代も違う誰かが紡いだ物語の上に修繕を重ね、自分の物語を加えていく…そうすることで1つとして同じものがない自分だけのオリジナルになる。そんな洋服を身にまとっている人って絶対カッコいいじゃないですか。少なくとも僕はそういう大人になりたいです。