S&S / INFORMATION Mar 10, 2019
Text:YOSHIURA KOTA
一年中着回せる洋服というのも魅力的ですが、その季節折々の生地というのも時の移り変わりを知らせてくれるものではないでしょうか。 せっかく四季のはっきりした日本にいるのですから、季節に合わせて楽しむというのも粋な気がします。
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洋服の魅力は数あれど、僕(吉浦)が特に重視しているのが生地。

僕は基本的に店にデリバリーされた時点で初めて、その洋服を見ることになります。その時もまず始めに見てしまう(触ってしまう?)のが生地の手触りです。

コレばかりは事前に資料や写真で想像を膨らませていても、実物を見て触った時の情報量には及びません。

そう思っているのは僕だけでもなかったようで、お客さんの中にも”生地フェチ”と呼んでも過言ではない人も多いように思います。(最近では生地フェチよりさらにニッチな”生地の耳「古い機械で織られた生地に見られる端の部分」フェチ”の方にもお会いしましたが。笑)

今回は生地に注目して、個人的にグッときた生地を使用したアイテムをご紹介したいと思います。

SASHIKO SUPER LIGHT SWEAT SHIRTS(PORTERCLASSIC)

”生地”となるとこの一枚は外せません。もともと日本の一部の地域で脈々と受け継がれていた、伝統ある生地をポータークラシックが研究を重ね、新たに作り上げたシリーズです。

刺し子とはそもそも、一枚の布地に糸を縫い通すことで生地の強度を増したり、破れた箇所に生地を重ねて修復出来るようにしたことから始まるとされています。

刺し子が生まれた環境では、布地というのは高価な物でシーズンごとで買い換えるなどとうてい無理な時代。そのため農作業などで破れても、刺し子で継ぎ接ぎして使うというのが一般的だったみたいです。

当時の人たちはあまり意図してこういった文化を造ったわけではないかもしれません。ですが結果として、親が使っていた仕事着を補修して子へ、補修してそのまた孫へと、一生物どころか人の二生分、三生分を共にする今では考えがたいスケールで洋服と接してきた人々が生み出したのが刺し子生地。その刺し子をPORTER CLASSICが年々改良を加え、今期は肌の上から直接着られるほど、薄手で柔らかな生地に仕上げたのがこの「SASHIKO SUPER LIGHT」です。

なかなか洋服でも見ることができない生地かと思いますので、是非この機会に触れていただきたい名作です。

スウィングトップ “マドラスチェック”(BONCOURA)

こちらは以前のブログでもご紹介したボンクラのスウィングトップ。リネンを配合し、夏場にシャツ感覚でも着られる一枚です。

マドラスチェックは名前にあるインドの”マドラス地方”が発祥とされるチェック柄です。

よく見ると一枚の生地に様々な発色の糸が使われているのが分かります。今となっては科学的に染めた糸でマドラスチェックを表現することも多いそうですが、BONCOURAが造るマドラスは天然染料によって先染めされた糸を使用しています。

そのため色が移り変わっていくさまや、色が滲み出し。独特のチェック柄へと変わっていくのを楽しめます。


リネン独特のざらつきがしっかり残った生地も特徴的。

夏場はこの凹凸が肌と生地との間に隙間をつくることによって、汗をかいてもべたつきにくく、通気性を挙げるのに一役買ってくれます。

天然繊維、天然染料による1枚ですので、ガンガンきて、ガンガン洗濯してもらうことで、より自分に馴染んだ1枚になっていくことは間違いありません。

C/L NAVAL SMOCK(PHIGVEL)

最後にご紹介するのは入荷したてのPHIGVEL「NAVAL SMOCK

僕はこのPHIGVELのパーカーシリーズ、スモックシリーズをみるとつい手が伸びてしまいます。

リネンとコットンを掛け合わせて造られたパナマ素材と呼ぶPHIGVEL独自の生地。昔のサファリジャケットなどに使われることが多かった生地を再現した物みたいですが、こちらのパーカーはU.S.NAVY(アメリカ海軍)のスモックをベースに仕上げたアイテム。

こういったヴィンテージのクロスオーバー的な再構築もPHIGVELのアイテムの魅力ではないでしょうか。

スモックタイプと言うことで、ジャケットのように脱ぎ着が容易でないアイテムだからこそ、着ているときの快適さって重要です。かなり薄手の生地ですので、重ね着もでき、夏場はシャツのようにロールアップして一枚で着ても程よく存在感を発揮してくれる一枚です。

スウェットパーカー等と比べ生地の印象が上品なので、一枚で着た時も子供っぽくならないのが特に好きなポイントです。

薄着の季節でも人と差をつけたい方は特に重宝していただけると思います。

素材のスペックが表れるシーズン

以前のブログでは「洋服好きは冬が好き」といったことも書かせてもらいましたが、春から夏にかけて軽装になるシーズンも結構好きです。

汗をかいたり、湿度の高いシーズンはそれだけで着られる洋服の幅が狭まります。良い事ばかりではないですが、その分良質な素材の価値や、季節に合わせた素材を作って来た先人の知恵を肌で感じられる良い機会のなのではないかとも思います。

生地一つの話ですが、生まれた歴史背景や地域の特色を知れば知るほど、洋服を身近なものに感じられ、コーディネートの際に組み合わせを考えやすくなる気がします。

そんなわけで各ブランドの入荷が重なるこのシーズンは、自分としても新たな生地に触れ、学びの多いシーズンです。ここでご紹介したアイテム以外にも自信をもって勧められる生地が多く揃っておりますので、是非店頭でもご確認下さい!

この記事を書いたひと
吉浦 康太YOSHIURA KOTA | sas_yoshiura
1995年生まれ。2017年春より「SLOW&STEADY」で勤務をスタート。靴磨きが大好き。
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